統合失調症探究
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●統合失調症探究
構造の中の主体性
津田均 著
判型: A5判上製
頁数: 256頁
価格: 4,200円(税込)
ISBN(旧):
ISBN(新):
【978-4-7533-1023-4】
刊行年: 2011-05-18
●臨床精神病理学から統合失調症を読み解く
目次●
まえがき
序 章 主体性のパトスの精神病理学へ向けて
第一章 シュープのただなかの「受苦」と「能動」
第二章 「決定不能」に陥る患者
第三章 統合失調症患者と「社会」
第四章 人間学的、構造主義的にみた基底症状
第五章 壁を抜ける患者と治療者――病の経過と精神療法
第六章 統合失調症患者の自殺と自傷
第七章 哲学と精神医学
人名索引
事項索引
初出一覧
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津田 均(つだ ひとし)
1960年 生まれ
1982年 東京大学理学部卒業
1988年 東京慈恵会医科大学医学部卒業
同 年 東京大学医学部附属病院分院神経科研修医
1992年 初石病院精神科
2000年 東京大学医学部附属病院分院神経科講師
2001年 東京大学医学部精神神経科講師
2004年 名古屋大学総合保健体育科学センター助教授
現 職 名古屋大学総合保健体育科学センター准教授
共 著 『 精神分裂病3』(人文書院),『うつ病論の現在』(星和書店),『身体・気分・心』(河合文化教育研究所)ほか
訳 書 『 多次元精神医学』(共訳,岩崎学術出版社),『フロイト全集22』(共訳,岩波書店)ほか
本書は、統合失調症についての精神病理学論考を集めた論文集である。臨床経験の傍らに産み落とされたものと考えていただいてもよいし、私個人の思索と格闘の跡と受けとめていただいてもよい。
私が精神科医として臨床を始めた頃は、依然として精神病理学研究がこの分野で大きなウェイトを占めていた時代だった。私自身、精神病理学の臨床文化の中で実際の研修を積みながら、様々な著書にもあたって勉強を開始した。それからは、もちろん薬物療法などについての基礎知識を補充するように努めながらであるが、初めのスタンスを大きく変えることを要請してくるような外的、内的要因には出会わなかった。途中であるまとまった期間、生物学的研究が主流の環境で臨床に携わることになった。このことはもちろん新たで刺激的な勉強の機会となったが、そこでも別段、通常の臨床検討において、それまでの見方を変える必要も、それまでに用いたり培ってきたりした言葉を変更する必要も感じなかった。共通の治療目標を持ちすぐれたセンスを持つ同僚や患者自身からは、新たな発想を吸収したり、基本的な治療態度の重要性を学んだりすることが、日々続いた。臨床は思索を刺激し続けるので、頻繁にわれわれの学問サークルの中で唱えられていた「精神病理学の危機」なるものは、私個人としてはそれほど実感せずに過ごしてきた。
ところが最近になって学会、専門誌のレベルで全国的、国際的な状況を振り返ってみると、確かに、精神病理学が、片隅に追いやられるどころか、場合によってはその存在さえ認められていないのではないかという危惧を持ってもおかしくない状況にあることに気づかざるをえなくなった。このことは私自身の臨床実感からすると非常に奇妙なことであるし、また臨床家の集まる研究会では、依然として精神病理学の意義を感じている方に多く出会う。それでも、どうも時代は、なぜ精神病理学が必要なのかから説き起こさなければならない時代になっているらしい。そのために今回書きおろしたのが序章である。それに続く各章は、すべて専門雑誌、専門書が初出である。堅苦しい形式で読者を立ち止まらせてしまうことを危惧して、それぞれの章に軽い序文をつけることとした。
本書を世に問う機会を得たことは、非常に多くの方々のおかげである。精神病理学自体は主に個人で行うものであるけれども、何よりも自分の論考を鍛えてくれる場がなければ育ちようがない学問だからである。本書が分厚い精神病理学の伝統の中から一石を投じたものと自負している。




