こころの症状はどう生まれるのか
.jpg)
●こころの症状はどう生まれるのか
共感と効果的な心理療法のポイント
古宮昇 著
判型: 四六判並製
頁数: 216頁
価格: 2,415円(税込)
ISBN(旧):
ISBN(新):
【978-4-7533-1021-0】
刊行年: 2011-05-24
●来談者の主観的な経験を理解するために
目次●
序 章 本書の目的と構成──共感するために必要な、了解することについて
第一部 私たちの心のなりたち
第一章 自己実現を求める衝動
第二章 無条件の愛を求める衝動
第三章 傷つきたくない、変化は怖すぎるから変わりたくない、と求める衝動
第四章 自分を表現したい、と求める衝動
第二部 心理療法の基本
第五章 傾聴を主とする心理療法について
第三部 症状発生のメカニズム
第六章 理論について
第七章 激しい孤独感
第八章 自分が何をしたいのかが分からない、生きている実感がない
第九章 劣等感と自己無価値感、および自己嫌悪感
第十章 完璧症
第十一章 対人恐怖・視線恐怖
第十二章 強迫性障害(およびパニック障害)
第十三章 うつ症状と、双極性障害(躁うつ病)
第十四章 症状が生まれるメカニズムのおさらい、そして、症状について考えるさいに大切なこと
補足 心理療法の実践力をつけるために効果的な、四つのトレーニング
さらに深く学ぶために──おすすめの本
謝 辞
引用文献
-----------------------------------
古宮昇(こみや・のぼる)
米国メリーランド州立フロストバーグ大学修士課程修了
州立ミズーリ大学コロンビア校心理学部より博士号(PhD. in Psychology)を取得
ノースダコタ州立こども家庭センター常勤心理士,パイングローブ精神科病棟インターン心理士,州立ミズーリ大学コロンビア校心理学部非常勤講師などを経る
現 在 大阪経済大学 人間科学部 教授(臨床心理士養成第一種指定大学院)
(NPO法人)ストレス・カウンセリング・センターにて開業心理療法をおこなう。
著 書 『傾聴術──ひとりで磨ける“聴く”技術』(誠信書房)
『やさしいカウンセリング講義──もっと自分らしくなれる,純粋な癒しの関係を育むために』(創元社)
『心理療法入門──理論統合による理論と実践』(創元社)
『大学の授業を変える──臨床・教育心理学の知見を活かした,学びを生む授業法』(晃洋書房)
など多数。
来談者の主訴にはさまざまなものがあります。うつで会社に行けない、娘が不登校だ、職場で誰も自分の味方になってくれない、パニック発作が怖い、リストカットをしてしまう、などなど。彼らは、それらの主訴の苦しみを取り去ってほしい、軽くしてほしい、と願って心理療法に来ます。しかし来談する動機の根本には、主訴が何であれ、「自分の苦しみを分かってほしい」「こんな自分を受け入れて認めてほしい」という強い願いがあります。
ケース検討会でときどき、参加者から「この来談者がなぜ心理療法に来ているのかが分からない」という意見を聞くことがありますが、来談者が通うのは、根本のところでは、自分の苦しみを理解してほしい、自分を受け容れてほしい、という欲求からなのです。だからこそ、心理療法家が、来談者の苦しみも悲しみも空虚さも、できるだけ来談者の身になってひしひし、ありありと想像し、そんな来談者をありのままに無条件で受け入れる、そのことが高い程度にできるほど、来談者にとって心理療法家との関係性はほかにない貴重なものになり、その関係性の中で少しずつ、彼らは変化してゆくのです。
しかしそのような、共感的理解と、無条件の受容と尊重に満ちた関係性を作るのは易しいことではありません。なぜでしょう。いくつもの理由がありますが、主な理由の一つとして、来談者の主訴や話す内容がしばしば現実からズレていることがあります。非現実的なために了解しづらく、共感できないのです。その現実からのズレは、端的に言うと「転移」という現象によるものです。つまり、来談者の苦しみの原因になっている(または苦しみをいっそう深く激しくする原因になっている)物の見かたや感じかた、感じかた、行動パターン、防衛のパターンは、彼・彼女のある過去の状況においては現実に沿ったものだったのですが、今の現実の状況にはそぐわないものなのです。そのとき、他人からは彼・彼女の苦しみ、感じかた、考えかたが了解しづらくなります。
そこで、理論が必要になります。私にとって理論とは、人の個人的で主観的な気持ちを、できるだけその人の身になって共感的に理解するためのものです。それに役立つ理論が有益な理論だし、それができるようになる学びかたが、理論の正しい学びかただと思います。受験勉強のように、専門用語の定義を覚えるような学び方ではなく、理論によって、来談者の個人的で主観的な経験を共感しつつ理解できる、そんな学び方です。
この本は、対話による心理療法をおこなう専門家と、それを本格的に目指す方がたのために書かれた本です。そして本書の目的は、心理療法家がとくに多く出会う症状のうち代表的な症状のいくつかについて、どのようにしてそれらの症状が生まれるのか、そのメカニズムを精神分析的見地から解き明かすことです。それによって、あなたが来談者の苦しみをよりよく了解でき、さらには来談者の苦しみをできるだけ彼・彼女の身になって、ありありと想像しやすくなることを願っています。
本書ではさらに、症状のメカニズムを明らかにすることに加えて、来談者の訴えの何に注目し、何に留意して介入すれば援助的になるか、そのガイドラインを提供します。(序章より抜粋)
« 統合失調症探究 | メイン | 米国クライン派の臨床 »



.jpg)
.jpg)