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「現場からの治療論」という物語

「現場からの治療論」という物語

すべての「治療者」に呼びかける物語

著者 神田橋條治
ジャンル 精神医学・精神医療
心理療法・カウンセリング
出版年月日 2006/03/27
ISBN 9784753306015
判型・ページ数 4-6・120ページ
定価 本体1,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目 次●
一章いのちの物語
 いのちの性質/からだの世界/他 
二章病
 「病」の登場/病因―いのちを妨げるもの/病態・症状・所見・検査値
三章ファントム界
 実体化/デジタル化/二次的音声化/他 
四章病む側の視点からの治療
 病む動物/因を除去する活動/ひずみ修復の活動/他
五章ファントムの登場
 ファントム因/因を除去する活動/ひずみ修復の活動/他 
六章治療する側の視点からの治療
 プロローグ/治療する側とされる側のかかわり/他 
七章治療的介入という異物
 二重構造/他 
八章からだPへの治療的介入
 からだPへの治療的介入/緊急処置から複雑な物語へ/他 
九章研究
 足が地を離れること/生命科学/研究の未来

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内容説明

まえがきより● 真偽は定かでありませんが,血清総コレステロールの正常値上限が,220 mg/dlから240mg/dlに改定されたとたん,抗コレステロール製剤を主力商品としている製薬会社の株値が下がったという噂をききました。この噂を信じたくなるほど,今日の医療は酷い状況になっています。  昔,「病を治すのではなく,病人を治す」と教えられた時代がありました。いまは病どころか,症状を消す医療,さらには検査値を治療したり,水銀柱の高さを正常化したりする医療が,はびこるようになりました。  確かさを希求するあまり,主観を排除し,客観性と数値と統計を重視した結果,「医学栄えて,医療亡ぶ」流れが加速しています。それは「知識栄えて,知恵亡ぶ」,「権威栄えて,職人亡ぶ」という社会全体の流れの一部であるのかもしれません。  無機質化された医療からの客離れが起こっています。処方された薬を,きちんと服用する患者は少なくなりました。代替医療の興隆も正規医療からの客離れ現象の一端です。  典型的には,医療者自身が客(患者)になったときの動きにあらわれます。彼(彼女)の中で,現代医療への不信と不安が噴出し,うろたえます。客観化された「正しい」医療に,身をゆだねることができません。内幕を知る者として,当然の反応なのです。患者となった者が身をゆだねることができるのは,すぐれた職人芸と人情とをもつ,個人としての医療者の主観的判断,つまり勘と,心身状況への患者自らの主観的な感覚なのです。  いまいちど治療者の内側に,人情と主観とを大切にする職人を育成したいものです。客の主観を無視せず,客も参加できる医療を復活したいものです。  知識偏重でない,人情味豊かな子を育てるための幾つかの方策のひとつに,童話の読み聞かせがあります。童話に盛られているのは,知識ではありません。人情と知恵の世界です。だから新しくもなく,古くもならないのです。  若い治療者へ向けて,知識など一かけらも含まない童話を書いてみることにしました。これは治療一筋の人生を生きたおじいさんの頭に,浮かんだり消えたりした空想群で編んだ童話です。聞き手の皆さんの内側に眠っている,何かに呼びかけようとする物語です。  古稀を迎えて   神田橋條治

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