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現代の子どもと強迫性障害

現代の子どもと強迫性障害

広汎な強迫症状に対する共通の里程標を,総体的な視点から探る

著者 中根晃
広沢正孝
広沢郁子
ジャンル 精神医学・精神医療
発達・思春期・老年
出版年月日 2005/02/22
ISBN 9784753305018
判型・ページ数 A5・248ページ
定価 本体4,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次● 

序文 
第1部子どもの発達の中にみられる強迫 
第2部子どもの強迫症状の臨床的特徴―強迫性障害を中心に 
第3部強迫症状とその周辺
第4部強迫性障害とは
 1章強迫性障害の歴史と診断
 2章強迫性障害の疫学
 3章強迫性障害の心理的成因
 4章強迫性障害の生物的背景
 5章強迫性障害の生理学と画像診断
 6章強迫性障害の心理検査
 7章強迫スペクトラムとは? 
第5部強迫症状に対する治療と対応
 1章強迫的な子どもたちとの外来面接
 2章行動療法(認知行動療法)
 3章薬物療法
 4章親への対応
 5章学校への対応 
第6部児童思春期の強迫の臨床 
第7部強迫と現代文化―これから育っていく子どもたちのために 他

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内容説明

監修者序文より●  ラパポートは強迫的行動を脊椎動物が進化の過程で獲得してきた縄張りとか身繕いのような適応行動パターンに他ならないこと,ヒトでは脳深部にある基底核にしまい込まれているものとした。そして,社会生活の中でのストレスによってこの行動パターンが浮び上がり,自己制御が不可能になってしまい,神経症的に悩むのが強迫神経症だとする考えを述べた。現在のように精神疾患の脳科学的機制が重要視されていない時代のこうした主張に感銘を受け,目からうろこの思いがしたのをよく覚えている。  強迫性障害は自閉症スペクトラムやADHDのような発達障害と違って病態とその症状の中心は成人期の病像である。したがって,児童思春期の強迫性障害を論じるさいには,まず成人期の強迫神経症の精神病理学を極め,その上で強迫性障害における最近の神経病理学的所見を適正なバランスをもって記述することが重要であると考えられる。自我心理学にもとづいた精神病理学では神経症レベル,精神病レベルといった病態水準が論じられる。一方,生物学的精神医学では症状の客観的把握と脳科学的所見が記述される。このさい観察所見の科学性を保証するのが診断基準である。そうであれば両アプローチの適正なバランスとは診断基準を軸に機能を記述することとなる。それはある時には社会的機能であり,ある時には神経生理学的機能である。  こうしたことが理解された上で,なぜ,児童期や思春期早期に発症したかという環境因的な考察が展開される。これが従来の成書の構成とすれば,本書ではあらたに2つの視点が導入されている。1つは発達論であり,子どもの精神発達の中で強迫現象をとらえることと,発達を考慮した治療的展開である。これは児童思春期の臨床に必要なセンスであり,第5部の各章にちりばめられている。もう一つは強迫スペクトラムという捉え方であるが,このさいのスペクトラムという用語は自閉症スペクトラムのような,元々同一の疾患だが症状に幅があるという視点とは違って,別べつの疾患として把握されているが強迫的現象が広く出現したり,病態の発展に大きく関与するという視点でのスペクトラムである。第6部の各章では様々な児童思春期の臨床で思いあたるような,患者の強迫性が述べられている。さらに第7部の強迫と現代文化の章では,子どもたちの生きている文化的気候風土が要領よく記されている。  こうした解説のもとに本書を通読していただけば,いかに本書が他に類を見ないような独自性で貫かれていることがわかると思われ,多くの読者に,広い視点で児童思春期の各病態を読み解く手掛りとして役立たせていただけるのではないだろうか。  このような見映えのある構想とその流れは,常に臨床に軸足をおいて学問を論じる広沢正孝,郁子両編者の幅広い発想がもたらしたものだと強調したい。  監修者 中根晃

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