統合失調症からの回復
統合失調症のスティグマと闘う
著者 | ワーナー R. 著 西野 直樹 監訳 中井 久夫 監訳 |
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ジャンル | 精神医学・精神医療 心理療法・カウンセリング |
出版年月日 | 2005/04/23 |
ISBN | 9784753305025 |
判型・ページ数 | A5・456ページ |
定価 | 8,250円(本体7,500円+税) |
在庫 | 在庫あり |
目次
序文
謝辞
はじめに
第Ⅰ部背景
第1章統合失調症とは何か
第2章健康・病気・経済
第Ⅱ部統合失調症の社会経済学
第3章統合失調症からの回復
第4章脱施設化
第5章狂気と産業革命
第6章労働,貧困,統合失調症
第7章第三世界の統合失調症
第8章西洋社会の統合失調症者
第9章統合失調症の発現率
第Ⅲ部治療
第10章抗精神病薬:使用,乱用,非使用
第11章働くこと
第12章統合失調症にかんする差別の廃止 他
共訳● 岩井圭司・柿木達也・北村 登・九鬼克俊・小林俊三・塩山晃彦・白川 治・杉林 稔・田中 究
内容説明
序文より● 社会階級または経済状態は,統合失調症者が病気から回復するか否かに影響するだろうか。産業化は,重度の機能不全に陥る統合失調症者の数を左右しただろうか。経済発展のレベルは,どの市民階層が統合失調症になるかを決定するだろうか。こうした問いは,本書『統合失調症からの回復』の核心である。初版が賞賛を以て迎えられたのに続いて,この大幅に改訂・刷新された第2版は,近年の治療法の変革がはたして真に進歩というに値するかということを考えるうえで新しい研究や経験を引き合いに出している。 著者は,われわれが未治療の統合失調症の経過を悲観的に考えすぎる一方で現代の治療の恩恵を過信していることに論駁する。新しい抗精神病薬の使用が増え,統合失調症治療に年々高額な資金が投じられているにもかかわらず,現代の産業化社会における統合失調症の予後は,第三世界と変わらない。いわゆる地域医療の多くは,実際は治療の対極にあり,精神病者を食べ物や避難所など基本的なニーズすらままならない生活に陥れている。 社会が上述した方法で統合失調症者に対応するようになった理由を説明するために,精神科医であり,人類学者であり,公的精神保健制度の医学管理者でもあるリチャード・ワーナーは,彼の主張を立証するために精神保健領域の通常の境界から一歩外に踏み出して,医学のみならず社会学,歴史,経済学から情報を引き出している。 リチャード・ワーナー医師は,米国コロラド州ボールダー地区精神保健センター所長,コロラド大学教授である。 「ワーナーの『統合失調症からの回復』第2版は,初版に引き続き,精神医学が好んで取り組んできた難問である統合失調症の斬新な見方を提供している。精神医学は,この難問を精神医学自身の問題として抱え込み,精神医学の嫡出子として正当化しようとしたが,その社会―文脈上の起源を取り扱おうとはしなかった。ワーナーは,この新しく書き換えられた著書で,この‘疾患’と関連するようになった数々の作り上げられた風船を針で突く作業を続けている。」 ローレン・モシャー