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原初なる一を求めて

転移神経症と転移精神病

原初なる一を求めて

読者自身と自らの治療技法とについて,新鮮な理解をもたらすMargaret Littleの先駆的な仕事

著者 M.I.リトル
神田橋 條治
溝口 純二
ジャンル 精神分析
出版年月日 1998/09/16
ISBN 9784753398102
判型・ページ数 A5・296ページ
定価 5,500円(本体5,000円+税)
在庫 在庫僅少
 

目次

Robert Langsによる,序文
Alfred Flarsheimによる,イントロダクション
M.Littleによる,まえがき
謝辞

第1章 さまよう人:あるパラノイド患者の記録
第2章 逆転移とそれに対する患者の反応
第3章 “R”―患者のニーズに対する分析者の総反応
第4章 妄想的転移について(転移精神病)
第5章 妄想領域における現実の直接提示
第6章 原初なる一(原始の全面的未分化)について
第7章 逆転移のポジティブな貢献
第8章 境界例状態における転移
第9章 境界例状態
第10章 原初なる一と共生〔ほか〕
第11章 喚起的相互作用(Reciprocity)と共有的相互作用(Mutuality)
第12章 分析治療における種々の過ちと失敗:振り返ってみて
第13章 対談:Margaret Little/Robert Langs

文献
訳者あとがき

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内容説明

Margaret Littleの仕事の先駆的な特徴は,本書の目次一覧から明らかです。彼女自身述べているように,分析家たちが逆転移にたいして,恐怖症的な構えをとっていた時代に,Littleは,今日の分析の著述家たちにすらまれにしか見られない,創造的な態度をもって,治療的相互作用のこの側面を突き止めえたのです。患者と分析家との間の深くて無意識的な相互作用についてのセンスと,分析家の逆転移に対する患者の感受性と鋭敏さへのセンスによって,彼女は今日でも注目すべき定式化を行いました。彼女の臨床的な鋭さは,おそらく,彼女の以下のような発見にもっともよく現れているのでしょ う。すなわち,ときおり,無意識的にしかも非常に正確に,患者は,過ちを犯している分析家に,分析状況を修正できるように助ける解釈を与える,というものです。分析家は自らの患者の生ける鏡であるのと同様に,患者も自らの分析家の生ける鏡であるという彼女の認識は,治療的相互作用に関する多くの最近の研究に道を開いてきました。この主題に関する彼女の諸論文は,今日の研究のためのプログラムになっていますし,現代の治療的そして分析的な実践への手引きにもなっています。(Langs序文より)

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著者情報

M.I.リトル

神田橋 條治

1937年鹿児島県加治木町に生まれる。1961年九州大学医学部卒業。1971~72年モーズレー病院ならびにタビストックに留学。1962~84年九州大学医学部精神神経科,精神分析療法専攻 現在鹿児島市伊敷病院。 著書 精神科診断面接のコツ,追補精神科診断面接のコツ,精神療法面接のコツ,精神科養生のコツ,改訂精神科養生のコツ,発想の航跡,発想の航跡2,発想の航跡別巻発達障害をめぐって,聴く、かたる-講演集-,「現場からの治療論」という物語,心身養生のコツ,「心身養生のコツ」補講50,「心身養生のコツ」補講51~104,精神援助技術の基礎訓練(いずれも岩崎学術出版社) 治療のこころ1~14,対話精神療法の初心者への手引き,臨床能力を育てる(いずれも花クリニック神田橋研究会),ちばの集い1~4(ちば心理教育研究所),精神科における養生と薬物(共著,診療新社),不確かさの中を(共著),スクールカウンセリングモデル100例(共著),「本」を遊ぶ(いずれも創元社),精神科薬物治療を語ろう(共著,日本評論社),うつ病治療(共著,メディカルレビュー社),発達障害は治りますか?(共著,花風社) 訳書 H. スポトニッツ=精神分裂病の精神分析(共訳),C.ライタロフト=想像と現実(共訳),A.クリス=自由連想 (共訳),M.I.リトル=精神病水準の不安と庇護(ウィニコットとの精神分析の記録),M.I.リトル=原初なる一を求めて(共訳)(いずれも岩崎学術出版社),M.M.ギル=転移分析(共訳)(金剛出版)

溝口 純二

1978年上智大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。臨床心理士。現在、東京国際大学大学院臨床心理学研究科教授

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