ホーム > 発達障害のある子の保育の手だて
目次
目 次●
まえがき
第1章 子どもの見方
Ⅰ 発達障害とは
1.なぜ自閉症・アスペルガー症候群,AD/HD,LDか
2.自閉症・アスペルガー症候群,AD/HD,LDとは
3.三つの障害の関連
4.発達障害の原因
Ⅱ 「困り感」の理解
1.まずは子どもの理解から
2.障害の改善は図れない
3.「困り感」へのアプローチ
4.「困り感」に気づく
5.発達障害のある子に特有の「困り感」
第2章 個別的な保育の手だて(1)活動の意味を伝える
Ⅰ 混沌とした世界に意味を与える
1.子どもの身になってみたら
2.安心して過ごせるスペースを作る
3.手がかりを与える
Ⅱ エスケープできる場所を用意する
1.エスケープのスペースをつくる
2.「周りの子どもへの説明」という前に
Ⅲ 一連の行動を教えるためのポイント
1.子どもにつけたい力を決めることから
2.三つのステップ
Ⅳ 支援例
1.朝の支度
2.好きな活動を選んで遊ぶ
3.次の活動への移行
4.歩 く
5.部屋の移動
6.制作活動
7.トイレ
8.給 食
第3章 個別的な保育の手だて(2)見通しと向かう先を示す
Ⅰ スケジュールは何のために教えるのか
1.目標は,子どもがひとりで動けるようにすること
2.スケジュールで何を伝えるか
Ⅱ スケジュールを導入する際の留意点
1.カードをつくる前に
Ⅲ いよいよスケジュールを導入する
1.まずはカードを「見る」ことから
2.カードは特別なものではない
3.子どもに伝わるカードを作る
Ⅳ スケジュールを発展させる
1.時間の推移を教える
2.1コマから2コマへ
3.コマを増やす,その前に
4.活動のすき間を埋める
5.携帯スケジュールに発展させる
第4章 個別的な保育の手だて(3)人とかかわる力をつける
Ⅰ 「要求」を伝えやすくするために
1.コミュニケーションと「要求」
2.教えたいことは,まず要求
3.「要求」を教える
Ⅱ 「期待」が伝わりにくい子どもへの手だて
1.分かっていないからできない
2.何をどのようにしたらいいかを伝える
3.「期待」を伝える
4.「してはいけない」という「期待」を伝える手だて
第5章 集団における保育の手だて(1)小集団保育の実践
Ⅰ 小集団保育の実際(1)発達障害のある子どものグループ
1.形 態
2.実 践
Ⅱ 小集団保育の実際(2)定型発達の子どもたちを交えて
1.形 態
2.実 践
Ⅲ 小集団保育のねらい
1.安心感を与える
2.保育者との信頼関係を培う
3.活動の単位と時間の推移を教える
4.他者と折り合うシナリオを作る
5.子ども同士がかかわる媒介をつくる
第6章 集団における保育の手だて(2)クラスでできる保育の手だて
Ⅰ 発達障害のある子どもが育つクラスをつくる
1.個への配慮の基本
2.クラス経営の基本
Ⅱ 支援の具体例
1.朝や帰りの集い
2.給食前後の活動から
3.「時間」を教える
4.好きな遊びをする
5.制作活動
6.行事への参加
第7章 保護者への支援
Ⅰ 保護者支援の基本
1.親の苦労
2.保護者を悲しませないで
Ⅱ 保護者とともに子どもを育てる
1.相互参画
2.子育てへの参画
3.保育への参画
Ⅲ 理解の得られにくい保護者への支援
1.うまくいかない原因を,保護者の子育てに求めてはいけない
2.支援のポイント
3.専門機関
第8章 保幼-小連携の実践
Ⅰ 連携のいとぐち――子どもが学校に行って困らないように
1.付き人支援
2.学校にあがって困るのは子ども
Ⅱ 学校にあがるまでにしておきたいこと
1.人とのかかわりの基盤を培う
2.思春期を視野に入れて基本的な生活習慣を養う
3.生活には枠組みがあることを教える
4.行動障害を回避する
Ⅲ 連携の実践
1.連携を実現させるために
2.連携の実際
3.地域連携――中学校区の支援
まえがき
第1章 子どもの見方
Ⅰ 発達障害とは
1.なぜ自閉症・アスペルガー症候群,AD/HD,LDか
2.自閉症・アスペルガー症候群,AD/HD,LDとは
3.三つの障害の関連
4.発達障害の原因
Ⅱ 「困り感」の理解
1.まずは子どもの理解から
2.障害の改善は図れない
3.「困り感」へのアプローチ
4.「困り感」に気づく
5.発達障害のある子に特有の「困り感」
第2章 個別的な保育の手だて(1)活動の意味を伝える
Ⅰ 混沌とした世界に意味を与える
1.子どもの身になってみたら
2.安心して過ごせるスペースを作る
3.手がかりを与える
Ⅱ エスケープできる場所を用意する
1.エスケープのスペースをつくる
2.「周りの子どもへの説明」という前に
Ⅲ 一連の行動を教えるためのポイント
1.子どもにつけたい力を決めることから
2.三つのステップ
Ⅳ 支援例
1.朝の支度
2.好きな活動を選んで遊ぶ
3.次の活動への移行
4.歩 く
5.部屋の移動
6.制作活動
7.トイレ
8.給 食
第3章 個別的な保育の手だて(2)見通しと向かう先を示す
Ⅰ スケジュールは何のために教えるのか
1.目標は,子どもがひとりで動けるようにすること
2.スケジュールで何を伝えるか
Ⅱ スケジュールを導入する際の留意点
1.カードをつくる前に
Ⅲ いよいよスケジュールを導入する
1.まずはカードを「見る」ことから
2.カードは特別なものではない
3.子どもに伝わるカードを作る
Ⅳ スケジュールを発展させる
1.時間の推移を教える
2.1コマから2コマへ
3.コマを増やす,その前に
4.活動のすき間を埋める
5.携帯スケジュールに発展させる
第4章 個別的な保育の手だて(3)人とかかわる力をつける
Ⅰ 「要求」を伝えやすくするために
1.コミュニケーションと「要求」
2.教えたいことは,まず要求
3.「要求」を教える
Ⅱ 「期待」が伝わりにくい子どもへの手だて
1.分かっていないからできない
2.何をどのようにしたらいいかを伝える
3.「期待」を伝える
4.「してはいけない」という「期待」を伝える手だて
第5章 集団における保育の手だて(1)小集団保育の実践
Ⅰ 小集団保育の実際(1)発達障害のある子どものグループ
1.形 態
2.実 践
Ⅱ 小集団保育の実際(2)定型発達の子どもたちを交えて
1.形 態
2.実 践
Ⅲ 小集団保育のねらい
1.安心感を与える
2.保育者との信頼関係を培う
3.活動の単位と時間の推移を教える
4.他者と折り合うシナリオを作る
5.子ども同士がかかわる媒介をつくる
第6章 集団における保育の手だて(2)クラスでできる保育の手だて
Ⅰ 発達障害のある子どもが育つクラスをつくる
1.個への配慮の基本
2.クラス経営の基本
Ⅱ 支援の具体例
1.朝や帰りの集い
2.給食前後の活動から
3.「時間」を教える
4.好きな遊びをする
5.制作活動
6.行事への参加
第7章 保護者への支援
Ⅰ 保護者支援の基本
1.親の苦労
2.保護者を悲しませないで
Ⅱ 保護者とともに子どもを育てる
1.相互参画
2.子育てへの参画
3.保育への参画
Ⅲ 理解の得られにくい保護者への支援
1.うまくいかない原因を,保護者の子育てに求めてはいけない
2.支援のポイント
3.専門機関
第8章 保幼-小連携の実践
Ⅰ 連携のいとぐち――子どもが学校に行って困らないように
1.付き人支援
2.学校にあがって困るのは子ども
Ⅱ 学校にあがるまでにしておきたいこと
1.人とのかかわりの基盤を培う
2.思春期を視野に入れて基本的な生活習慣を養う
3.生活には枠組みがあることを教える
4.行動障害を回避する
Ⅲ 連携の実践
1.連携を実現させるために
2.連携の実際
3.地域連携――中学校区の支援
内容説明
まえがき●
「5歳の子なんですけど,人の話が聞けないし,思い通りにならないとひどいかんしゃくを起こすんですよ。どうしたらいいですか」。こんな訴えを,保育園や幼稚園ではよく耳にする。保育者が困っているのだという。
気持ちはよく分かる。しかし,それはあくまでこちらの都合である。反対に,子どもの言い分はどうなのだろうか。
端的に答えよう。困っているのは,子どもの方なのだ。私たちが困っているとき,子どもはその何倍も困っている,いや困り果てているのである。あんなにいっぺんにいろいろなことを話されても,頭に入らない。それでも自分なりに周囲の状況を読み取って,どうにかこうにか振る舞う。にもかかわらず,しばしばそれでは違うのだと制止される。当然,子どもは混乱する。しかも,そんなに苦しいのだということを,うまく言えないのだ。
だとすれば,保育者がすべきことは明らかである。子どもが困らないように,かかわり方を変えるしかないのである。
とはいえ,それがなかなか難しい。工夫しなさいといわれても,そうそういいアイディアが浮かぶわけではない。
それで,この本を書こうと思った。子どもが抱く「困り感」を軽減し,穏やかな園生活を保障するためのヒント集である。
セールスポイントを,二つあげておこう。
一つは,使いやすく実用的な本であること。ページをめくっていただければお分かりのとおり,保育園や幼稚園の実践を,たくさんの写真やエピソードとともに掲載した。どれも,その効果について筆者らが吟味を重ねてきたものであり,学術的な裏打ちもなされている。
もう一つは,現場における保育の機微を大切にしたことである。単に保育のテクニックをまとめるということでなしに,子どもと保育者とのあいだの息づかいが読者に伝わるよう,できる限りの努力をした。
それから,本の構成に関して一言。章ごとに内容が完結しているので,どの章から読み始めていただいてもけっこうである。もちろん,必要なところだけを拾い読みしてくださってもいい。
以上が,本の紹介である。
残りのスペースで,いくつか書き加えさせてほしい。
本書に盛り込まれている実践は,そのほとんどが著者らのオリジナルである。ただし,ところどころ,現場の仲間,さらには保護者の方々の実践を使わせていただいた。この場をお借りして厚くお礼申し上げたい。なお,本文中のエピソードは,プライバシーが特定されないよう,大幅に脚色し,名前もすべて仮名にしてある。
最後になったが,この本の出版は,川崎医療福祉大学の佐々木正美先生のご推薦によって実現した。改めて,感謝の意を表したい。また,編集を担当してくださった唐沢礼子さんには,企画から仕上げまでたいへんお世話になった。おかげさまで,とてもいい本ができたと自負している。
2007年5月
佐藤暁 小西淳子
●本書のみどころ(第2章より一部抜粋)●