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【新版】うつ病の認知療法

目次

目次●

新版まえがき
日本語版への序文i
序  文
第一章 展  望
 一.うつ病の問題
 二.うつ病に対する心理療法の価値
 三.認知療法の定義
 四.認知療法の新しい特徴
 五.認知モデル:歴史的展望
 六.うつ病の認知モデル
 七.認知革命:科学的パラダイムと抑うつ的パラダイム
 八.うつ病の認知療法を行う際にあらかじめ必要な条件
 九.認知療法の限界
 十.認知療法を学ぶ際に一般的に見られる落し穴
 十一.認知療法のインパクトを最大にする
第二章 認知療法における情緒の役割
 一.情緒の識別と表現
 二.治療関係における情緒の役割
 三.情緒の解放
第三章 治療関係:認知療法への応用
 一.治療者の望ましい特性
 二.治療的相互作用
 三.治療的協力関係
 四.“転移”“逆転移”反応
第四章 面接の構造
 一.治療者のためのガイドライン
 二.認知療法の一般的構造
第五章 初回面接
 一.初回面接の開始
 二.重要な情報を引き出す
 三.“主訴”を“標的症状”に翻訳する
 四.初回面接の治療目標
 五.標的症状の選択
 六.標的症状と対峠する
 七.誤った情報処理の仕方に焦点を向ける
 八.初回面接におけるフィードバック
 九.要  約
第六章 各治療セッションのすすめかた:典型的な治療例
 一.セッションの概観
 二.事  例
第七章 行動的技法の適用
 一.行動変容による認知的変容
 二.活動スケジュールの作成
 三.達成感と喜びの技法
 四.段階的課題の割り当て
 五.認知的リハーサル
 六.主張訓練とロールプレイング
 七.行動的技法:理論的根拠とタイミング
第八章 認知的技法
 一.認知的技法の理論的根拠
 二.患者に理論的根拠を説明する
 三.再帰属法
 四.非機能的な思考の記録
 五.リストカウンターの使用
第九章 標的症状への焦点づけ
 一.標的症状と技法の選択
 二.感情面の症状
 三.動機づけ面の症状
 四.認知面の症状
 五.行動面の症状
 六.生理面の症状
 七.症状の社会的文脈
第十章 自殺傾向のある患者に対する特殊技法
 一.自殺の危険性を査定する
 二.連続体としての自殺の意思
 三.自殺の動機を探る
 四.自殺に傾いている気持ちを反対に向ける
 五.治療中にみられる自殺願望の増加現象
第十一章 自殺傾向のあるうつ病患者との面接
第十二章 うつ病生成的な思い込み
 一.非機能的な思い込みの確認
 二.思い込みの変容
 三.“標的症状”としての思い込み
 四.“べき”の変容
 五.“個人的契約”としての思い込み
 六.自己充足的な予言としての思い込み
 七.認知的誤りの根底にある思い込み
 八.非機能的な思い込みの利点と不利益を列挙する
 九.思い込みの変容に及ぼす行為の役割
 十.患者に反論を述べさせる
 十一.自己価値に関する思い込みへの取り組み
 十二.思い込みが自分勝手であることを明らかにする
 十三.思い込みの長期的効用対短期的効用
第十三章 治療におけるホームワークの活用
 一.ホームワークを行うことの理論的根拠を伝える
 二.ホームワークの割り当て
 三.ホームワークの実行を促す
 四.ホームワークのつまずきの原因を探る
 五.活動スケジュールの作成
 六.快適さを高める活動をスケジュールとして組み込む
 七.達成感を高める活動をスケジュールに組み込む
 八.記録をとることとそれに関連する義務
 九.ホームワークを立案する際の患者の役割
 十.特殊なホームワークの割り当て
 十一.予測しうる問題に対して備える
 十二.ホームワークの割り当ての概要
第十四章 技法導入上の問題
 一.治療者側のガイドライン
 二.治療にさしさわりとなる患者の信念
 三.治療にさしさわりとなる患者の行動
第十五章 治療の終結と症状の再発に関連した問題
 一.治療終結の準備
 二.治療が終結することに対して患者が持つ不安や懸念
 三.早すぎる治療の終結
 四.治療後の症状の再発
第十六章 うつ病患者に対する集団認知療法
 一.はじめに
 二.うつ病に対する集団療法:一般的考察
 三.特殊な臨床的考察
 四.形式的な側面
 五.治療セッションの実施
 六.典型的な治療戦略の具体例
 七.集団認知療法の実証的検討
 八.結  論
第十七章 認知療法と抗うつ剤による薬物治療
 一.はじめに
 二.患者を査定する
 三.認知変容技法を通してねばり強く薬物治療を続けさせること
第十八章 認知療法の効果に関する研究
 一.体系的研究:抑うつ的なボランティアを対象とした研究
 二.体系的研究:うつ病患者を対象とした研究
 三.要  約

監訳者あとがき
付  録
参考文献
人名索引
事項索引

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内容説明

新版まえがきより●  15年前(旧版刊行当時)のわが国の心理治療の状況を振り返ると、DSMによる(当時はDSM-III-R)診断が実質的に浸透したところで、うつ病(気分障害)に対する有効な心理療法の決定打はまだなかった。「問題解決に積極的にかかわる」ことや「患者・クライエントとの共同作業としてすすめていく」という、認知療法でなくとも今日では当たり前の姿勢が、しばしば、「がさつ」とか「強引で乱暴」な素人仕事であるかのように見なされた。「従来の心理療法に劣らない、むしろ上回る効果を比較的短期間で上げている」といった英語圏での認知行動療法の評判は、「心理療法のファースト・フード化」などと揶揄された。「うつ病者の考え方を表面的に変えるだけで長期的改善が得られるわけがない」、「単なる説得療法に過ぎない」という冷ややかな見方が根強かった。  『うつ病の認知療法』は、そのようななかで、認知療法において本邦初の「本格的介入マニュアル」として翻訳・出版された。原著は1979年初版であるから、1992年当時でさえすでに「ようやく」の訳出であったかもしれない。しかしながら、「使えるマニュアル」であれば、多少のタイムラグがあっても、翻訳書が刊行される意義は大きいものである。事実、『うつ病の認知療法』を評して、「ひとつの診断カテゴリーに対して、ここまでいたれりつくせり導いてくれる心理療法解説書は前例がない」と、その受けた衝撃の大きさを語られた方の言葉は強く印象に残っている。  そして15年の年月が流れた。今日の、認知療法・認知行動療法への期待の大きさは、あらためて述べるまでもない。認知療法は「うつ病だけに効く技術」ではなく、不安障害やパーソナリティ障害、統合失調症にまで広く(限界はあっても)適応であること、決して「強引な手法」でもなければ「従順で障害の軽い患者に限りしかも表面的にしか効かない」わけでもないこと、なにより「エビデンスに裏付けられた」技法であるということが浸透してきた。PTSD関連障害や自殺、性犯罪等の防止、児童期・思春期から高齢者の不適応・適応障害に対しても、実効あるパラダイムであることは、一般の方々にまで知られてきた。  心理療法の世界では、理論や技術の進歩も早いが、真に貴重な古典は大切にされる。『うつ病の認知療法』はすでに「古典」になりつつあるのかもしれないが、日々の臨床実践において折にふれ参照されるべき、「最も偉大な治療マニュアルの古典」であり続けると思われる。「うつ病」という、「逞しく生きる」ことが困難になってしまい突破口が見えなくなってしまった方々の支援に関わる専門家に必要な「暖かさ」は、治療行為の細部にどのように宿るべきか。この問いに対し、これ以上ないくらいにまでわかりやすく説いてくれる全18の章は、21世紀のわが国でも、その価値を失ってはいないはずである。 坂野雄二・神村栄一 ●本書のみどころ(第5章より抜粋)●

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