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精神分析的心理療法の現在

ウィニコットと英国独立派の潮流

精神分析的心理療法の現在

特定の理論体系に固執しない精神分析理論の発展と拡張

著者 ジョンソン S.
ルーゼンスキーS.
倉ひろ子
ジャンル 心理療法・カウンセリング
精神分析
出版年月日 2007/09/14
ISBN 9784753307074
判型・ページ数 A5・200ページ
定価 本体3,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

●目次

 日本語版への序文
 謝 辞
 寄稿者
 序 章
第1章 私は誰? そして私は誰のもの?──本当の自己の出現
第2章 内的同棲という概念
第3章 転移解釈は心的変化にどの程度必須なのか
第4章 居ない母親──スプリッティングは解決を求める自己愛的試み
第5章 対象と関係することから対象使用へ──ある臨床例
第6章 転移と逆転移に潜在する外傷の可能性
第7章 逆転移における性愛転移とその変遷
第8章 夢を見ることと白昼夢を見ること
 参考文献
 訳者あとがき
 人名索引
 事項索引

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内容説明

序章より●  本書の各章を担当している著者たちは,英国学派精神分析の独立派から影響を受けて臨床をしている精神分析的心理療法家である。  本書には独立派のいくつかの特徴がよく現れているだろう。独立派の第一の特徴は,乳幼児の早期の発達および乳幼児と母親の関係の重要性を基本的に認め,それを受け入れている点にある。したがって,独立派に影響を受けた現代の精神分析的心理療法では,患者の精神病理の分析と,患者と心理療法家の関係を分析することがバランスをとって組み合わされる。そこでは心理療法的な治療という「移行領域」において二人の人の間で起こることを吟味し理解しようとすることに力点が置かれている。  ドナルド・ウィニコットは,英国精神分析協会のある科学会議で自分が情熱的に語った「ひとりの赤ん坊というようなものは存在しない」という言葉に多くの著作で繰り返し言及している。彼は自分のこの言葉の正当性をさらに追及し次のように指摘する。「あなたが私に一人の赤ん坊を見せるとすると,あなたは同時に赤ん坊の世話をしている人も見せていることになる。少なくとも,絶えずその人が目を注ぎ,耳を傾けている赤ん坊のゆりかごも同時に見せていることになる。つまり,私たちが見るのは一つの「養育カップル」である。ウィニコットが述べていることは,治療の文脈の中では「ひとりの患者というようなものは存在しない」というふうに広げることができるだろう。それは逆の立場から言い換えれば「ひとりの治療者というようなものは存在しない」とも言える。  独立派の伝統における第二の特徴は,どの固定した理論体系にも固執せずに,既存のさまざまな精神分析の概念と思考方法を用いて,しかも,それらをさらに発展させ推敲し続けるというところである。したがって,独立派の伝統がパラドックスに陥るとしても不思議なことではない。本書の著者たちは,精神分析理論の幅広い分野に今ある諸概念を用いることに喜びを感じている。まさにこの理由のために,本書の著者たちは独立派の伝統に基づきながらも,あるときは既存の精神分析諸学派について未解決の問いを投げかけ,あるときはすでに確立した精神分析理論を拡張しようと試みるのである。 精神分析理論はフロイトの創めより,臨床で出遭う困難な現象に何とか意味を見つけようと苦闘する臨床家によって発展してきたのである。この本には,あるものは長い臨床報告であったり,あるものは短い臨床例であったりするが,豊かな臨床素材が載せられている。独立派の精神をたどる上で,一章一章の展開が発達の道筋を追っているといえる。読者がこの本を読んで出会うのは,多種多様な主題や固定されない着想であろう。そして,独立派に生来含まれている創造性に触発を受けることだろう。しかしながら,ひとつ最も重要なテーマはある。それは,治療者と患者の間に起こる相互交流に焦点を当てることで,両者は共に面接室で積極性を持って存在し,転移という「遊び場」の中でお互いの関係を吟味することに専念しているのだ。
●本書のみどころ●

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