ホーム > プレゼントモーメント

プレゼントモーメント

精神療法と日常生活における現在の瞬間

プレゼントモーメント

「今ここで」の人間関係を徹底して捉えようとする情熱的な探求

著者 スターン D.N.
奥寺崇
津島豊美
ジャンル 心理療法・カウンセリング
精神分析
出版年月日 2007/10/23
ISBN 9784753307128
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 本体4,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

●目 次
 訳者まえがき
 序  文
 謝  辞
第一部 現在の瞬間について探究する
 第一章 「今」という問題
 第二章 現在の瞬間の持つ性質
 第三章 現在の瞬間の時間的構造
 第四章 生の物語としての現在の瞬間──その組織

第二部 現在の瞬間を文脈上に置いてみる
 第五章 間主観的母体
 第六章 基本的、原初的動機づけシステムとしての間主観性
 第七章 暗黙の了解
 第八章 意識の役割と間主観的意識という概念

第三部 臨床的視点から
 第九章 現在の瞬間と精神療法
 第十章 沿っていくプロセス
 第十一章 臨床状況において、暗示と明示を織り交ぜること
 第十二章 過去と現在の瞬間
 第十三章 治療的変化──要約と概括的な臨床的含蓄

 付録 微小分析面接
 用?語?集
 監訳者あとがき

 参考文献
 索  引

このページのトップへ

内容説明

●監訳者あとがきより  本書はスターンの乳幼児心理学者・精神療法家としての真摯なまなざしを借りて,精神療法,すなわち情緒的に密接な二者関係において現実に何が起こっているのかを解き明かしている。  精神療法について,従来の治療の設定・構造における考察の多くが「時間と空間」に割かれてきた傾向が否めない。そこでは,治療の場において語られることは,過去の対象との関係の想起,反復あるいは転移という時間軸から理解され,治療空間において語る,耳を傾ける,解釈を参照するという行為が創造的生き方(ワークスルー)の発露となる。ところが,臨床における現実の密接な情緒交流を十分に描き出すことは,時間と空間からの理解だけからは困難となる。そのため,「今ここで」という視点が用いられているのだが,「今ここで」の視点は無意識,転移,解釈という精神分析の基本文法のために,どうしても「かつてそこで」に関心が向いてしまう。同様の傾向は,精神分析的発達論の理解,あるいは精神分析(的精神)療法家の訓練の一環としての乳児観察の方法論に見ることができる。タヴィストック・モデルと呼ばれる乳児観察は,観察者は,乳児の生活環境に赴き,そこで観察される親密な母子関係のありようを観察者の情緒的感覚を通して理解するという点できわめて精神分析的といえる。同時にこれは,観察者が「今ここで」観察している母子関係と,観察者自身が子どもとして(あるいは養育者として)経験した「かつてそこで」の養育体験を含めて観察(想起・再体験)している点において,「今ここで」の母子関係そのものの理解についてはあいまいさを残すことにもなる。  これに対し,スターンの乳幼児心理学の独創性は,序文でも触れられているように,「今ここで」の母子関係を徹底して捉えようとする情熱の産物と解される。本書の白眉たる「現在の瞬間」への接近は,この手法の,密接な対人関係,つまり精神療法の世界への応用といえよう。主観を描写する試みの中で,主観の持つ個別の情緒性と描写に求められる客観性をどのように両立するかということである。著者の探求は精神療法における本質的な治療作用の明確化であると考えられる。時間と空間からの理解に加え,質量・動きを伴った「瞬間」という出会いの機会が詳述されたことで,精神療法の営まれている場の様相が解き明かされたのである。  加えて,本書に脈々と流れる著者の情熱は,自然科学的接近と体験的・経験論的接近との出会いの「瞬間」をも見事に描き出している。精神分析・精神療法が,医療・自然科学の視点から実証性の評価という洗礼を受けようとしている現在,本書における「瞬間」への着目が,精神療法の側から提唱されたことはきわめて重要である。これは,単に「精神療法を分析する」にとどまらず,それを次世代の臨床家にどのように伝達すべきなのかというテーマを孕んでいる。臨床の卓越性が分析されることで,優れた臨床が次世代に受け継がれてこそ精神療法がユーザーへの責任を果たすことができる(成熟する,一人前となる)のではないだろうか。
■■本書のみどころ■■

このページのトップへ