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治療的柔構造―心理療法の諸理論と実践との架け橋 (単行本)

治療的柔構造―心理療法の諸理論と実践との架け橋

患者と治療者のニーズに応える標準的な治療法の提案の試み

著者 岡野 憲一郎
ジャンル 精神医学・精神医療
心理療法・カウンセリング
精神分析
行動療法・認知療法
出版年月日 2008/08/20
ISBN 9784753308095
判型・ページ数 A5・304ページ
定価 本体3,000円+税
在庫 在庫あり
フォーマット 価格
単行本 3,000円+税
電子書籍 2,400円+税
 

目次

■目次

はじめに
第一部 治療的柔構造論に至るまで
 第一章 出発点としての「治療構造論」
 第二章 「治療的柔構造」の背景
 第三章 柔構造的発想を日常臨床に見出す
第二部 治療的柔構造論の提唱
 第四章 「剛構造」としての古典的な精神分析とその見直し
 第五章 「治療的柔構造」に基づく治療論
第三部 治療的柔構造論から見た失敗学
 第六章 失敗心理学の提唱(1)
 第七章 失敗心理学の提唱(2)
第四部 治療的柔構造論による心理療法の架け橋
 第八章 治療的柔構造における精神分析と認知行動療法(1)
 第九章 治療的柔構造における精神分析と認知行動療法(2)
 第十章 クライン学派とアメリカの精神分析との架け橋
 第十一章 臨床心理学と精神医学との架け橋
 第十二章 学問としての精神分析と臨床としての精神分析との架け橋
 第十三章 治療的柔構造論の源流をたどる  大野 裕・岡野憲一郎
あとがき
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【電子書籍版もございます】

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内容説明

第5章より抜粋■ なぜ「標準」としての「治療的柔構造に基づく治療法」を考えることが必要なのかについて、以下に三つの理由をあげておきましょう。 一つには、各学派が依然として異なるドグマを持ち、それが心理療法についてこれから学ぼうとする人たちを混乱させているという事実があります。この問題は心理療法に関する勉強やトレーニングを始める方々にとって、一番深刻なものといえるかもしれません。彼らが最初に精神分析とは何かを学ぼうとする時、すでに特定の学派について学ぶことしかできないとしたら、ある意味では非常に不都合なことです。ある事柄についての一般的な理解を得たいのに、すでに特定のイデオロギーに染まった情報を与えられることになるからです。もちろんあらゆる心理療法的なアプローチは、そこに何らかのバイアスや先人のやり方を含んでいるという現実を知ることもまた重要でしょう。しかし最初に心理療法とは一般的にどういうものかを、学派を超えて学ぶ機会を持つことは非常に重要なのです。 第二の理由は、患者は学派により治療者を選んできているわけではないということです。これはおそらくもっとも重要な問題です。そもそも患者さんは症状に悩んで治療者のもとを訪れるのであり、「~学派」の治療を受けるためにやって来ているわけではありません。多くの場合患者さんは特定の治療法との「相性(マッチング)」を持っています。精神分析的なやり方が性に合っている人もいれば、非常に具体的な行動療法的アプローチに向いている人もいるでしょう。そして治療者は、「この患者さんにはどのようなアプローチが一番合いそうだろうか?」と考え、検討するという役割を常に担っています。 第三の理由は、まだ経験の浅い治療者にとっては、治療理論や治療構造についての何らかの準拠枠の提示が必要だからです。「治療的柔構造に基づく治療法」は、ある種の雛形を提供する意味もあります。この療法の最大の眼目は、さまざまな原則を相対的に応用することですが、そのためには多くの人によって受け入れられるような基準、料理で言えば基本的な味付けがある程度できていなくてはならないのです。 柔構造による治療は多くの「いいかげんさ」、あいまいさ、恣意性を含みますが、そこに原則がないというわけではありません。むしろかなり熟慮された原則がいくつか必要となります。それがあってこその「良い加減さ」なのです。五重塔などの建築物は、そこに「心柱」という構造があることで地震などによる倒壊を防いでいるとされます。塔の各層は風や地震にさらされた際に大きく揺れ動きますが、心柱は常に全体のバランスをとって倒壊を防いでいます。そして治療の外的条件が変わっても治療構造の全体が形を保つのは、「柔軟性を重んじた治療原則」がちょうど塔の心柱のような役割を果たすからです。

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著者情報

岡野 憲一郎

1982年東京大学医学部卒業,医学博士。1982~85年東京大学精神科病棟および外来部門にて研修。1986年パリ,ネッケル病院にフランス政府給費留学生として研修。1987年渡米,1989~93年オクラホマ大学精神科レジデント,メニンガー・クリニック精神科レジデント1994年 ショウニー郡精神衛生センター医長(トピーカ),カンザスシティー精神分析協会員。2004年4月に帰国,国際医療福祉大学教授を経て現職京都大学大学院教育学研究科臨床心理実践学講座教授,米国精神科専門認定医,国際精神分析協会,米国及び日本精神分析協会正会員,臨床心理士。 著訳書 恥と自己愛の精神分析,新しい精神分析理論,中立性と現実新しい精神分析理論2,解離性障害―多重人格の理解と治療,脳科学と心の臨床,治療的柔構造,新外傷性精神障害─トラウマ理論を越えて,続 解離性障害―脳と身体からみたメカニズムと治療,脳から見える心―臨床心理に生かす脳科学,恥と「自己愛トラウマ」,臨床場面での自己開示と倫理(以上岩崎学術出版社)

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