ホーム > 児童精神科ケース集

児童精神科ケース集

小倉清著作集 別巻1

児童精神科ケース集

著者長年の臨床経験を一望にし普遍の価値を探る

著者 小倉清
ジャンル 精神医学・精神医療
発達・思春期・老年
出版年月日 2008/10/17
ISBN 9784753308132
判型・ページ数 A5・272ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
 序 章 
  本当に子どもは変わったのか
 第1章 幼児期・児童期
  1 叔母のおなかの中の赤ちゃんに脅える子
  2 けもののように叫びつづける子
  3 ホスピタリズムの子
  4 心気的訴えを中心としたケース
  5 排泄訓練もできていない重症ケース
  6 母親との戦いに死をかけた子
 第2章 思春期・青年期
  7 世の中を分かりすぎた少女
  8 親の進学熱にうちのめされた少年
  9 斜頸および種々の問題行動を示した子
  10 突然,親に乱暴をするようになった少年
  11 種々の問題行動を起こしたケース
 第3章 ケース検討
  盗み,乱暴,虚言,おもらし,糞漏等の問題をもつ6歳男子のケース
 付 章 
  座談会:子どもの臨床と人類の未来を考える(村瀬嘉代子・川畑友二)

  初出一覧 
  あとがき

このページのトップへ

内容説明

座談会より●  子どもたちのあり方あるいは環境について,ということですが,基本的に大切な事柄というのは,どんなに時代が変わっても,社会が変わってもあるんじゃないかということですね。そのことをしっかり認識するということが大事だと思うんですね。大雑把にちょっとそんなことを思いますけど。  今も昔も基本的なことは変わっていない──これは意見が分かれるところかもしれないけれど──家庭もほとんど崩壊してしまっているようにみえるんだけれど,それでも人間は家庭のなかで育つのが原則と思いますよね。基本的に親子関係,家族というもののなかで,生まれ育つわけですが,一方で,その家庭のあり方が社会の変化につれて変わってきているという面がある。だから,それは十分には残っていないのかもしれないけれど,原理原則からして基本的にいって変わり得ないものというのはあるかもしれませんね。そこが戦いの場になってくるのではないかという感じがしますよね。  一方で,私が「変えてはいけない」と思うこともあって,それは,人間は哺乳動物であるということなんですね。哺乳動物に共通してみられるものは絶対的にあると思うし,特に人間の場合は,赤ちゃんは非常に未熟な姿で生まれてくる。何年も親の庇護なしではやっていかれない動物ですよね。法律でも20歳になって初めて自立ということになっている。しかし,それでもまだなお足りない感じもする。だから,人間も哺乳動物として,変わることができないというか,変えてはいけないというか。  これまで人類はいろいろなことに興味をもち,さまざまの努力を重ね,種々の新しいものを創りつづけてきましたが,しかしそういう歴史は同時に多くの事柄を破壊していく過程でもあったことに近年気づくことになってきてしまった。なかんずく,人間は自分たち自身を損ねてきていますし,また私たちの未来を荷負うべき大切な子どもたちさえも損ねてきて,そして,今もなお損ね続けているという事実を厳粛に受け止めねばならないときにきています。それはさまざまの形で,われわれ大人に警告を発し,また告発を向けている子どもたちの悲痛な叫びをよく聴き取れば明らかなことなんですね。私たちはこの真実に心底から謙虚にそして厳粛に向き合わねばならないと思います。  私たち一人ひとりが己の人生の意味を問い,かつ,なすべきことをしなければならず,同時に人類とその未来についても同じ作業をしなければならないでしょうね。そして,さらには人類の未来を背負うことになる子どもたちを大切にすることの意味に真摯に向かい,それについてなすべきことを今,しっかりとやり遂げなければならないと思います。

このページのトップへ