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臨床精神医学の方法

臨床精神医学の方法

臨床と研究のあり方を今も真摯に問いつづける著者渾身の書

著者 土居健郎
ジャンル 精神医学・精神医療
心理療法・カウンセリング
精神分析
出版年月日 2009/02/05
ISBN 9784753309009
判型・ページ数 4-6・200ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

●目 次

第1章 臨床と学問
第2章 「 甘え」理論と集団
第3章 日常語と専門語そして精神医学
第4章 コトバの問題
第5章 漱石と精神分析
第6章 『 「自分」と「甘え」の精神病理』再論
第7章 日本起源の概念は通用するか
第8章 リハビリテーションと精神医学
第9章 精神分析と文化の関連をめぐって
     1.文化を意識する
     2.「甘え」理論の誕生
     3.ナルシシズムの時代
     4.対象関係とは何か
     5.「甘え」と同一化
     6.分析療法の将来
第10 章 アイデンティフィケーションについて
第11 章 精神医学と精神分析
第12 章 臨床精神医学の方法論
付  章 土居ワールドを味わう
 
■臨床と研究のあり方を今も真摯に問いつづける著者渾身の書。「甘え」はじめ「日常語の精神医学」を通奏低音として,精神科臨床の諸問題を多角的に吟味する。

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内容説明

●序より抜粋  この本は,ここ数年の間に書いた論文を集めたものである。学会あるいは学術集会で発表したものが多いが,それとは別に請われて別個に書いたものもある。それぞれの題は当然異なっているが,お読みくだされば分かるように,いずれも精神医学の臨床に関係する主題を扱っており,それぞれが精神分析的視点のもとに書かれている。因みに臨床精神医学と精神分析は別個に発達したものであり,今日でも両陣営に属する人たちは,御自分の臨床ないし研究をそれぞれ別個に続けておられる場合が多いだろう。しかし私の立場はこれと異なる。  というのは,私は精神医学の臨床においてこそ精神分析のレーゾン・デートルが発揮されると思っているからだ。もちろん精神分析と無関係な精神医学の領域は広いし,また精神分析は精神分析で精神医学と別個にその価値を主張するであろう。しかし私が興味をもつ領域はまさに精神医学と精神分析が重ね合わさるところである。そしてそれこそ私にとって精神医学の臨床に他ならないのである。  実際そうであればこそ私はこの本を「臨床精神医学の方法」と題した次第である。読者諸氏が著者の意のあるところを汲んで本書を読んでくだされば著者にとってこれに勝る喜びはないであろう。 ●第7章より抜粋  ……このようなわけで治療関係の中で起きることはきわめて人間的であって,客観的な自然科学的事実と比ぶべくもないが,ここで自然科学が誇りとする客観性とはいかなるものであるかあらためて検討してみよう。それは事実に徹するということであって,事実それ自体ではないのである。言い換えれば自然科学の客観性とは客観的であることが最高の目標となっているということである。であるから自然科学において客観的事実として提出されたものが研究者の主観によって曲げられていたということが実際に起こり得る。英語でintellectual honestyといって研究者が正直であることの重要性を強調することがあるが,それからもわかるように自然科学の客観性は実は道徳的基盤の上に成立しているということができる。実際またそうであればこそ自然科学は現代人にとってほとんど唯一の権威となった。自然科学の客観性は現代において権威の別名となっていたのである。  自然科学的事実の客観性が以上見てきたごときものであるとするならば,それと比較して治療関係の中で得られる所見が一段と見劣りするなどということはあり得ないように思われる。たしかに治療関係の中で得られる所見はきわめて人間的であり,一見もっぱら主観的な事柄から成り立っている。しかしそれはむきだしの主観ではない。一方では権威を代表する治療者の主観があり,他方には治療を求める患者の主観があって,この両者が関係して起きる事柄をなるべく客観的に記載したものが治療関係における所見である。

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