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フォーカシングの原点と臨床的展開

フォーカシングの原点と臨床的展開

日本の第一人者たちが論じるフォーカシングの哲学的原点とその臨床

著者 諸富祥彦
伊藤研一
吉良安之
末武康弘
近田輝行
村里忠之
ジャンル 心理療法・カウンセリング
出版年月日 2009/05/07
ISBN 9784753309030
判型・ページ数 A5・304ページ
定価 本体3,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目  次●
 
はじめに(諸富祥彦)

第一部 概  観
 第一章 フォーカシングの原点―その哲学の基本的特質及びロジャーズとの関係(諸富祥彦)
  一 エッジ(辺縁)での思考
  二 「暗黙なるもの」の哲学―occurring into implying
  三 停止と葉状化―変化を促すもの
  四 「暗黙なるもの」による思考―イサドラ・ダンカンの場合
  五 フォーカシングにおいて「全体」を感じることの意義―ナルシシズムへの警告
  六 まず相互作用ありき(interaction first)
  七 「体験過程」概念をめぐって
  八 ロジャーズ‐ジェンドリン関係
  九 ロジャーズのexperiencing概念理解
  十 ジェンドリンはロジャーズの正統な後継者なのか

第二部 哲学的思考
 第二章 ジェンドリンの思索における哲学的背景(村里忠之)
  一 はじめに―ジェンドリンの哲学
  二 暗在性=形式以上のもの
  三 ポストモダン以降を生きる方法としてのフォーカシングとTAE
  四 先駆者たち(1)
  五 先駆者たち(2)
  六 ハイデッガー以降の現代哲学の難点
  七 体験的複雑さを用いて考える
  八 再びハイデッガー―哲学と心理学
  九 暗在性の哲学の実践としてのフォーカシングとTAE

 第三章 臨床的問題としてのジェンドリン哲学(末武康弘)
  一 はじめに―ジェンドリン哲学へのアプローチ
  二 体験過程,象徴,意味―体験過程論の展開
  三 夢,身体,隠喩―現象学的方法による夢解釈
  四 体験の複雑性,自我と非自我,身体感覚が導くプロセス―ナルシシズム概念批判と社会的提言
  五 暗在的含意,生起,進化―プロセスモデルの臨床的意義

第三部 臨床的展開
 第四章 フォーカシング指向心理療法の基礎概念―体識と対人的相互作用(近田輝行)
  一 はじめに
  二 体識とは何か
  三 体識論の心理療法への適用
  四 インタラクティブ・フォーカシング
  五 おわりに

 第五章 日々の臨床実践の土台としてのフォーカシング(吉良安之)
  一 はじめに
  二 フォーカシングを土台にした心理療法
  三 フォーカシング技法をセラピストのために生かす
  四 心理臨床家の基底を支え拡充する方法としてのフォーカシング

 第六章 心理臨床にフォーカシングを活かす(伊藤研一)
  一 私にとってのフォーカシング
  二 フォーカシングの威力の実感
  三 心理療法技法としてのフォーカシング
  四 他の心理療法技法との併用と統合
  五 治療者にとってのフォーカシング
  六 まとめ

文  献

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内容説明

「はじめに」より抜粋  きわめて多面的な魅力を持つフォーカシングであるが,その理解のされ方が,どこか浅薄で表面的な傾向があることに残念な思いを抱いている人も少なくないのではないだろうか。マニュアル本も便利で悪くないが,もっとこの方法の本質に関わる底の部分にゴツンと触れる骨太の本はないものか。そんな思いはなかっただろうか。  本書は,フォーカシングに深く携わってきた人なら心のどこかで感じていたはずの,こうした思いから生まれた「骨太のフォーカシングの本」である。  本書ではあえて,きわめてマニュアル的ではない仕方で,フォーカシングやジェンドリンの思想とかかわっていく。  ジェンドリン自身,おそらくは十分に自覚的にそうした戦略をとってきたであろうように,彼の哲学論文で使われる概念と,心理療法論やフォーカシングにかかわる著作で使われる概念とは(もちろん本質的な次元では同一性が認められるけれども)かなりの隔たりがある。論じるテーマの射程は,心理療法論やフォーカシング論ではかなり限定的であり,哲学論文になると一気に広くなる。そのため,フォーカシングや心理療法についてジェンドリンの考えに関心を持ち,十分な臨床実践の体験を踏まえた上で著作や論文を十分に読みこなしてきた人でさえ,ジェンドリンの難解な哲学論文を前にするとまったく歯が立たず,あきらめざるをえないという事態が頻繁に生じていた(というより,それが一般的でさえあった)。  けれども彼の,心理療法論やフォーカシングの実践の持つ本質的な意味,そしてその社会的歴史的な意味を十分に理解するためには,やはりその哲学を踏まえた上で,心理療法やフォーカシングに立ち返って考えることが不可欠である。  しかし,ジェンドリンの哲学を十分に理解した上で,彼の心理療法やフォーカシングの実践の社会的歴史的意味を掴み直す,という当然なされてしかるべきこの作業は,ひとつには彼の哲学論文が決して理解が容易なものではないこと,また,ひとつには,心理療法やフォーカシングの実践家には概して哲学や思想が不得手なものが多いことが妨げとなって,これまでほとんど着手されることがなかった。日本のみならず,世界的にみてもこの課題はようやく最近になって着手され始めたにすぎない。  本書は,ジェンドリンの思索の原点である哲学と,彼が編み出したフォーカシングという心理技法の臨床的適用の往復運動という,世界的にも着手され始めたばかりの課題に取り組むささやかな試みのひとつである。哲学的ないし理論的な側面については村里,末武という,そしてフォーカシングの臨床的適用の側面については,吉良,近田,伊藤という,現在の日本における当該分野での,最良の執筆陣を得ることができた。間違いなくベストメンバーである。本書のような,いわば,フォーカシング的思索の「岩盤」を問うていくような,骨太のフォーカシングの著作はあまりなかっただけに,どのような反響を生み出すことができるか,たいへん楽しみである。

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