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ウィニコットとの精神分析の記録【新装版】

精神病水準の不安と庇護

ウィニコットとの精神分析の記録【新装版】

治療者としてのウィニコットの姿を伝える古典的名著,待望の復刊

著者 M.I.リトル
神田橋 條治
ジャンル 精神分析
出版年月日 2009/05/19
ISBN 9784753309054
判型・ページ数 A5・128ページ
定価 2,530円(本体2,300円+税)
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

目次●
 
 第1章 James S. Grotsteinによる,イントロダクション

第Ⅰ部 Winnicottは,精神病水準の不安の在りか,に働きかけます――わたくしの個人史

 第2章 自己分析を語るさいの危険
 第3章 Dr. X. との精神療法 1936~1938年
 第4章 Ella Freeman Sharpeとの,精神療法 1940~1947年
 第5章 D. W. W. との精神療法 1949~1955年,そして1957年
 第6章 その後のこと 1957~1984年まで
 第7章 教師としての,Winnicott

第Ⅱ部 依存状態への退行,の価値

 第8章 退行の価値
 第9章 精神病水準の不安,の開拓
 第10章 母のハンドバッグから盗んだもの
 終章 Donald Winnicott,その人

文献
訳者あとがき

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内容説明

「新装版へ添えて」より  訳者あとがきに語っているいきさつで,僕はこの本を訳しました。隅々まで愛着こめて訳しました。内容がリトルさんのウィニコットへの愛着に溢れているので,僕の愛着とが溶け合って,情感を搾り出すような訳文となりました。句読点が多すぎる訳文の文体は,読みづらいかもしれませんが,写真にある老いたリトルさんの息遣いを示しえていると感じて,僕は気に入っています。  想いをこめた訳書だったので,あまり売れなかったのは悲しいことでした。在庫切れのまま消えてしまうのだろう。理論や技法を表立って提示していない内容だから仕方ない,とあきらめていました。ところが最近,欲しいとおっしゃる声をあちこちで聞くようになりました。治療現場の実像を知ることで理論と行為との連関を把握したい,との実務家の要望の深まり,つまりわが国における精神療法の成熟,に由来するのであろうと思い嬉しい心地です。  少しでも値段の安いものにしたいので,ソフトカバーにしてもらいました。また,表題と副題とを入れ替えました。上に述べたような本書の現時点での役割を考えての変更なのです。それ以外には訳文の内容もまったく変更ありません。初版をお持ちの方がうっかりして購入されることのないようにお願いします。  これは熱っぽい危険な治療実践の記録です。だけど,スッキリした治療技法の底に,このような熱っぽいかかわりが潜んでいる,2つは矛盾なく両立する,いや,2つが互いに支え合ってこそ実効を発揮するのだ。老いを加えるにしたがい,そう確信するようになっています。   「訳者あとがき」より抜粋●  M. Littleの名は,精神療法の技法探索の,わたくしの歴史の,冒頭に居る人であった。本を手にとって拾い読みするうちに,M. Littleは,Winnicottから精神分析を受けた人であることが分かった。Winnicottについては,わたくしのなかに,特別の思い出があった。  1990年に,本書が出版された。その内容は,Winnicottとの治療分析の,詳細であった。ご覧のように,鮮烈な内容であった。訳業の途中で,胸に突き上がってくる感情を抑えるべく,しばし瞑目することが,幾度かあった。  また,Littleさんによって描きだされているWinnicottの考えや行動が,わたくしが理想として目指している精神療法家の像と一致しているので,嬉しくなり,Littleさんへの親しみが強くなった。原著書にはない,Winnicottの写真と,Littleさんの写真とを,並べて収載して,Littleさんへのプレゼントにしたくなった。そこで,Littleさんのいちばん気に入っているWinnicottの写真を,送ってもらった。実は,1972年に,国際精神分析学会誌の,Winnicott追悼号がだされている。そこに用いられている写真が,わたくしのいちばん気に入っているWinnicott像である。Littleさんとわたくしとでの,Winnicott像の違いであった。わたくしは,少しばかり未練を残しながら,Littleさんに譲った。だって,これはLittleさんの本なのだから。 神田橋條治

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著者情報

M.I.リトル

神田橋 條治

1937年鹿児島県加治木町に生まれる。1961年九州大学医学部卒業。1971~72年モーズレー病院ならびにタビストックに留学。1962~84年九州大学医学部精神神経科,精神分析療法専攻 現在鹿児島市伊敷病院。 著書 精神科診断面接のコツ,追補精神科診断面接のコツ,精神療法面接のコツ,精神科養生のコツ,改訂精神科養生のコツ,発想の航跡,発想の航跡2,発想の航跡別巻発達障害をめぐって,聴く、かたる-講演集-,「現場からの治療論」という物語,心身養生のコツ,「心身養生のコツ」補講50,「心身養生のコツ」補講51~104,精神援助技術の基礎訓練(いずれも岩崎学術出版社) 治療のこころ1~14,対話精神療法の初心者への手引き,臨床能力を育てる(いずれも花クリニック神田橋研究会),ちばの集い1~4(ちば心理教育研究所),精神科における養生と薬物(共著,診療新社),不確かさの中を(共著),スクールカウンセリングモデル100例(共著),「本」を遊ぶ(いずれも創元社),精神科薬物治療を語ろう(共著,日本評論社),うつ病治療(共著,メディカルレビュー社),発達障害は治りますか?(共著,花風社) 訳書 H. スポトニッツ=精神分裂病の精神分析(共訳),C.ライタロフト=想像と現実(共訳),A.クリス=自由連想 (共訳),M.I.リトル=精神病水準の不安と庇護(ウィニコットとの精神分析の記録),M.I.リトル=原初なる一を求めて(共訳)(いずれも岩崎学術出版社),M.M.ギル=転移分析(共訳)(金剛出版)

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