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学校現場に生かす精神分析【実践編】

─学ぶことの関係性

学校現場に生かす精神分析【実践編】

精神分析的思考を学校臨床に生かすための具体的な手がかりを示す

著者 B.ヨーエル
平井 正三
鈴木 誠
ジャンル 心理療法・カウンセリング
精神分析
発達・思春期・老年
出版年月日 2009/08/25
ISBN 9784753309078
判型・ページ数 A5・224ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

タビストック・クリニック・シリーズの編者の序文
謝辞
はじめに

第一章 「赤ちゃんはどこから来るの?」――子どもに学びたいと思わせるのは何か
学ぶことの精神分析理論――認識愛本能/乳幼児期の学び/学ぶことの困難さ

第二章 理論的概観――精神分析の概念とその応用入門
学ぶことと不安の関係/不安への防衛/トラウマ、剥奪、虐待/抱える器としての教師や学校/分裂――理想化と中傷/不安への防衛/逆転移/転移/役割と境界

第三章 遊び、遊び感覚、学ぶこと
遊びの抑制/共有できない子/象徴的遊び、再演、「取り組み続けること」/まとめ

第四章 潜伏期
潜伏期概論/早期潜伏期/中期潜伏期/後期潜伏期/潜伏期の失敗/潜伏期の心の状態

第五章 青年期
思春期と教育/中等学校への進級/思春期の子ども・親・学校/家族の布置/早期思春期

第六章 はじまり、おわり、移行
臨床素材/はじまり/大きな移行/比較的小さな移行/連続性/おわり

第七章 行動を理解すること――教室での洞察と観察の価値
観察/ワーク・ディスカッション/観察と洞察/まとめ

第八章 特別支援教育
心身に障害のある子/協働すること/感情の両価性/障害の意味/二次障害/障害と折合いをつけること/発達段階/親との関係/他の特別支援の二ーズヘの応用

第九章 学校の集団力動
精神分析理論と集団/規則/スケープ・ゴート/学校でのグループワーク

第十章 投影のプロセス――「ギャング」集団、いじめ、人種差別
グループと「ギャング」集団/内的世界と「ギャング」集団的な心の状態/いじめっ子と犠牲者初/「ギャング」集団的な心の状態の起源/羨望といじめっ子/人種差別/人種差別者/差異と変化への恐れ/学校全体の方針

第十一章 家族と学校
集団としての家族/核家族/家族と学校/親との協力関係

第十二章 査定、評価、視察
観察されることと評価されること/査定に直面したときに働く防衛機制/査定の良い面/標準学習到達度試験(SAT)/成績ランキング/視察/相互評価/繰り返される失敗のインパクト/書いたものを提出すること/試験の不安/まとめ

第十三章 統合、排除、自己排除
怠学/外的要因/内的要因/事例/食べ物、抱えること、学ぶこと/まとめ

訳者あとがき
監訳者あとがき
参考文献
索引

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内容説明

現代日本の公立小中学校には、すぐには解決できそうもない問題が山積している。さまざまな水準で教育改革が続けられているが、問題は一向に減っていかない。むしろ増えているような印象すらある。なかでも本書の中心テーマでもある「学ぶことができない子ども」の問題は、教育機関である学校の深刻な問題のひとつである。これは特別支援教育として論じられる類のものだけではない。また最近では、学校機能の中心ともいえる「授業」が成立しないという問題も際立ってきている。この「授業が成立しない」という現象は、学校現場をじかに見る機会のない人にとっては、なかなか想像しにくいのだろう。そのためしばしば、学習内容の量の問題、教師の指導力不足や子どもの躾の問題として片付けられてしまう。しかし多くの場合、事態はそれほど単純なものではない。本書を読み進めると、学校現場の抱える問題の深刻さが、洋の東西を問わないことがよく理解できる。教師たちは、日夜、すぐには「解決できない問題」の「解決」を求めて子どものために奔走しつづけている。それはこうした問題に直面する大人に、つよい焦燥感と切迫感を喚起するからである。そして無力感や憤りに加え、羨望などの強烈な情緒も交錯して、奔走する大人たちの思考はじわじわと侵食されていく。やがて大人の思慮深さや理性的に考える力が損なわれ、考えなしに行動したり、激しい意見対立によって同僚や関係機関との協働も破壊され、ステレオタイプな対応に終始したり、予測可能な問題でも実際に事が起きるまで何もできず、後手後手の対応に振り回されることになる。つまり「わけも分からず」対応に忙殺され消耗し、現実感覚までもが失われていくのである。いわゆる「荒れる学校」や「学級崩壊」のなかで生じる教職員の士気の低下や機能不全、病気休職などの背景には、しばしばこうしたプロセスを見て取れる。本書では、既存の精神分析の概念や集団力動の概念を応用して、こうした「解決できない問題」をせめて「考えることのできる問題」に変容させ、大人の現実感覚の喪失や機能障害を克服していくための手がかりが提示されている。なかでも乳幼児観察の応用、コンテインド/コンテイナーのモデル、コンテインメント、集団心性の理論、妄想・分裂ポジションの観点からの非行やいじめの心性へのアプローチは、実際の学校現場で役立つ卓越した考察である。本書で展開されている精神分析の学校への応用とは、精神分析的実践やその思考プロセスを教育の営みのひとつとして取り入れ、その得られた理解を教育実践に役立たせることに力点が置かれている。 本書では精神分析の応用として、学習理論、精神発達や集団心性の理論、学校が直面する今日的な問題などの考察が網羅されている。その意味で本書は、精神分析的な「教育心理学のテキスト」としての意義をもっていると思う。(「あとがき」より)

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著者情報

B.ヨーエル

平井 正三

1994年京都大学教育学部博士課程研究指導認定退学。1997年英国タ ビストック・クリニック児童・青年心理療法コース修了。帰国後,佛教大学臨床心理学研究センター嘱託臨床心理士・京都光華女子大学助教授などを経て,現在御池心理療法センターにて開業の傍らNPO法人子どもの心理療法支援会の代表を務める。2011年より大阪経済大学大学院人間科学研究科客員教授に就任。 著書 『子どもの精神分析的心理療法の経験』(金剛出版),『精神分析的心理療法と象徴化』(岩崎学術出版社)。 訳書〔共訳〕 アンダーソン編『ク ラインと ビオンの臨床講義」(岩崎学術出版社),ヒンシェルウッド著『クリニカル・クライン」(誠信書房),ビオン著『精神分析の方法』(法政大学出版局),アルヴァレズ著『こころの再生を求めて』(岩崎学術出版社),メルツァ一著『夢生活』(金剛出版)。〔監訳〕 ブロンスタイン編『現代クライン派入門』(岩崎学術出版社),タスティ ン著『自閉症と小児精神病』(創元社),ボストンとスザ一編『被虐待児の精神分析的心理療法』(金剛出版),ウィッテンバーグ著『臨床現場に生かすクライン派精神分析』(岩崎学術出版社),ウィッテンバーグ他著『学校現場に生かす精神分析』(岩崎学術出版社),ヨーエル著『学校現場に生かす精神分析〈実践編〉』(岩崎学術出版社)。

鈴木 誠

1984年東海大学文学部卒。1988年名古屋大学医学部精神医学教室卒後研修修了。 現職くわな心理相談室 主宰,日本精神分析学会認定スーパーバイザー・認定心理療法士。

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