人生から学ぶ
ひとりの精神分析家になること
必読! 心理臨床を学ぶ人に! 精神分析的英知の結晶
著者 | P.ケースメント 著 松木 邦裕 監訳 山田 信 訳 |
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ジャンル | 心理療法・カウンセリング 精神分析 |
出版年月日 | 2009/10/20 |
ISBN | 9784753309108 |
判型・ページ数 | A5・268ページ |
定価 | 4,180円(本体3,800円+税) |
在庫 | 在庫あり |
目次
監訳者まえがき
まえがき ポール・ウィリアムズ教授
謝 辞
はじめに
第1部 発 展
第1章 人生から学ぶ
第2章 方向感覚の出現
第3章 理論のための場所を見つけること
第4章 「いいえ」ということを学ぶ
第5章 憎しみとコンテインメント
第6章 サミュエル・ベケットの母国語との関係
第7章 喪の哀悼と哀悼の失敗
第8章 実践中のこころの中のスーパーヴィジョン:症例提示
第9章 臨床的な触角を発達させる
第2部 熟 考
第10章 説明しにくいいくつかのこと
第11章 確実さと確かでないこと
第12章 振り返り
参考文献
訳者あとがき
内容説明
監訳者まえがきより抜粋 「感動のライフ・ストーリー,そして精神分析家の誕生」 私はこの小文に,精神分析の専門書にはまったく似合いそうもない表題をつけました。しかしおそらく,本書『人生から学ぶ』を読んで感動しない人はいないでしょう。とりわけケースメントさんがみずからを語る最初の2章を読んだときには,彼が歩み続けた人生の重さと素晴らしさに大きくこころを動かされます。もちろん他の章でも,新たな感動に見舞われました。翻訳を進めながら涙のために霞んでしまうことが,幾度となく私にはありました。ひとりの精神分析家の誕生には,みずからの人生の出会いからの深い学びがあったのでした。 しかし,それだけではありません。その人生から学ぶこと,人生の真実に触れ,もちこたえることによって学ぶことの大切さを,精神分析の臨床家として,さらにはひとりの人間として私たちは学ぶでしょう。私は思います。私たちは精神分析の臨床家にはなれるとしても,どんなに努力してもフロイトにもビオンにもウィニコットにもなれません。なれるのは,せいぜいなんとか学派になるだけです。それにしてもやはり,私たちは私たちが実際に生きているその在り方でしか臨床家でありえないのです。ただその等身大の私たち自身,私たちの人生が,真摯に学ぼうとし続けるのなら,学びの宝庫でもあるのです。パトリック・ケースメントはそのひとつのモデルとして,勇敢にも自分自身を提示しました。 ケースメントさんは援助の専門家として保護観察官,ソーシャルワーカー,心理療法家,精神分析家と独自の歩みを進めてきました。本書に収められているそうした専門職としての経験も,それぞれの専門職に現在就いている方が本書を読まれるならとても役に立つものです。私は本書が精神分析にかかわっている方や関心を抱いている方にかぎらず,保護観察官,ソーシャルワーカー,さまざまな心理職,調査官といった援助職の方たちに読まれることを切望します。本書が,私たちそれぞれの仕事の困難の中に希望を見出す手助けをしてくれる著作であると私は信じます。 ケースメントさんの処女作『患者から学ぶ』(ロンドンの専門書店カーナック・ブックスで史上最も売れた本です),第二作の『さらに患者から学ぶ』,グラディーヴァ賞を得た第三作『あやまちから学ぶ』というすべての翻訳に私はかかわってきました。とても幸運なことでした。また今,『人生から学ぶ』という精神分析著作の範疇を超えた著書に出会った喜びに感動しています。 本書の翻訳は,精神分析を志向する精神科医山田信氏によって手がけられました。彼の豊かな教養と人生経験,分析的な臨床経験,真摯な臨床姿勢があって初めて,本書が血の通う日本語の書物となりえたことをここに記しておきたいと思います。 読者の皆さんに,私たちが本書で出会った感動に是非触れていただきたいと私たちはこころから願っています。 松木邦裕
著者情報
P.ケースメント 著
松木 邦裕 監訳
山田 信 訳