ホーム > 精神分析的心理療法と象徴化

精神分析的心理療法と象徴化

コンテインメントをめぐる臨床思考

精神分析的心理療法と象徴化

治療空間が成長と変化を促す器であるために

著者 平井正三
ジャンル 心理療法・カウンセリング
精神分析
出版年月日 2011/05/28
ISBN 9784753310227
判型・ページ数 A5・288ページ
定価 本体3,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
 
序章 精神分析的心理療法と象徴化──問題の所在
─セクションA 探究の基盤─
第1部 探究の基盤─研究方法としての精神分析と治療方法としての精神分析─
 第1章 研究方法としての精神分析と治療方法としての精神分析
第2部 自閉症の現象学
 第2章 自閉症の精神分析的心理療法の経験から──心理療法家は心の理論を持ち続けられるか?
 第3章 自閉症の現象学──メルツァーの次元論
 第4章 自閉症領域と非自閉症領域の間で──くらげ少年
 第5章 防衛としての2次元性──コンテインメントの失敗を生き残る手段としての2次元的対象関係
─セクションB 探究の展開─
第3部 精神分析的心理療法過程の理解の展開─コンテインメントと〈家族〉的対象関係─
 第6章 乳幼児の世界──子どもの心の痛みとコンテインメント
 第7章 精神分析的心理療法におけるセラピストの行為──精神分析的状況の能動的構成をめぐって
 第8章 子どもの精神分析的心理療法とビオンのコンテインメント概念
 第9章 精神分析的心理療法とは何か?
第4部 象徴化という視点からみた自閉症の精神分析的心理療法
 第10章 象徴化という視点からみた自閉症の心理療法──ポスト・クライン派の精神分析的見地からの一試論
 第11章 自閉症への精神分析的アプローチと拡充技法
 第12章 対人相互作用フィールド・モデルと自閉症の心理療法
第5部 精神分析的心理療法と象徴化
 第13章 精神分析的心理療法における「モード」と「位相」概念,そして「位相転換現象」について──子どもの精神分析的心理療法を中心に
 第14章 象徴化の生成と促進に関する一考察──乳児観察素材をもとに
 第15章 自由連想あるいは言論の自由について
終?章 精神分析的心理療法と象徴化──結論に代えて
初出一覧
文  献
---------------------------------
平井正三
1994年 京都大学教育学部博士課程研究指導認定退学
1997年 英国タビストック・クリニック児童・青年心理療法コース修了
帰国後,佛教大学臨床心理学研究センター嘱託臨床心理士,京都光華女子大学助教授などを経て,現在,御池心理療法センター(http://www.oike-center.jp)にて開業の傍ら,NPO法人子どもの心理療法支援会(http://www.sacp.jp)の理事長を務める。
訳 書 アンダーソン編『クラインとビオンの臨床講義』,アルヴァレズ著『こころの再生を求めて』(以上 岩崎学術出版社),ヒンシェルウッド著『クリニカル・クライン』(誠信書房),ビオン著『精神分析の方法Ⅱ』(法政大学出版局),メルツァー著『夢生活』(金剛出版)〔以上共訳〕,ブロンスタイン編『現代クライン派入門』,ウィッテンバーグ著『臨床現場に生かすクライン派精神分析』,『学校現場に生かす精神分析』,ヨーエル著『学校現場に生かす精神分析 実践篇』(以上 岩崎学術出版社),タスティン著『自閉症と小児精神病』(創元社),ボストンとスザー編『被虐待児の精神分析的心理療法』(金剛出版)〔以上監訳〕
著 書 『子どもの精神分析的心理療法の経験』(金剛出版)

このページのトップへ

内容説明

序章より抜粋●  精神分析はクライエントの無意識を探索することを目的とする営みであると従来考えられてきた。その基盤は,クライエントの言動を,その背後にある象徴的無意識的意味を解明する「素材」と捉えることにあるとみてよいであろう。しかしながら,ビオンの仕事は,精神分析の営みを,このような素材-解釈図式という象徴的要素だけでは捉えるべきではなく,セラピスト-クライエントの相互作用と関係性という,(象徴化された側面ではなく,行動化されている側面という意味で)いわば非象徴的要素という点で吟味する必要があることを明確に示した。すなわち,クライエントがセラピストに対して何を表現しているかというだけでなく,何をしているかという視点が重要であること,そして,セラピストがクライエントに何を伝えているかだけでなく,何をしているか,あるいはセラピストが何をしているとクライエントが感じているかという視点の重要性である。  このような視点において中心になるのが,既述したコンテイナー-コンテインド関係という概念である。コンテイナー-コンテインド関係を通じて,クライエントは,自らは考えることができず,感じることができない考えや感情を,象徴化し,考え,感じることができるようになると想定されるわけである。コンテインメントという,この大きな概念的枠組みの詳細を臨床実践を通じて探究していくことが,ビオン以降の精神分析において大きな研究課題になってきていると思われる。  本書は,象徴化という視点から精神分析的心理療法がどのように人の心の成長に役立つのかを探索していく試みであるとともに,逆に精神分析的心理療法という視点から象徴化とは一体何なのかを捉える試みである。精神分析的心理療法過程の性質の解明と象徴化の性質の解明という二つの軸を設定することで,それらが互いに他方を照らし出しながら,いわば螺旋状に次第に相互の理解を深めることが期待される。  本書は,大きく第1部と第2部で構成されるセクションAと,第3部と第4部と第5部で構成されるセクションBに分けることができる。セクションAは,第1部の第1章で示されているように,クライン-ビオンという精神分析の流れの中で比較的広く受け入れられている精神分析的心理療法の理論と技法に依拠しながら,自閉症とその関連する臨床領域を探索していくことを通じて,非象徴領域という原始的な心の領域を探索していく仕事で構成されている。これに対して,セクションBは,セクションAで示したような精神分析的心理療法の理論と技法の理解を著者独自の視点で次第に深め,展開させていき(第3部),それを基に再び自閉症の問題に取り組んでいく(第4部)。そして,最後の第5部において,乳児観察の経験にも依拠しながら,早期の母子関係と心の発達との関連で,再び,象徴化や治療関係の性質という視点で,精神分析的心理療法過程の解明を試みる。

このページのトップへ