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フロイトと日本人

往復書簡と精神分析への抵抗

フロイトと日本人

彼らの誇りと抵抗が日本精神分析の礎となった

著者 北山修
ジャンル 精神分析
出版年月日 2011/07/24
ISBN 9784753310241
判型・ページ数 A5・184ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次■
はじめに
第一部 フロイト‐日本人 書簡集
 1. フロイトと文通したパイオニア四人の略歴
 2. フロイト‐日本人 書簡集
 3. 書簡原文
 訳者あとがき
第二部 精神分析的エッセイ「精神分析への抵抗」
 1. 黎明期,日本人はどのように精神分析にアプローチし「抵抗」したのか
 2. フロイトとの土居健郎の「格闘」
 3. 国際的視野から見た日本の精神分析:その二重性と柔軟性
 4. 交流の「表と裏」とその起源について
 
あとがき
 
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北山 修(きたやま おさむ)
精神分析家・前日本精神分析学会会長・医学博士
1946年 淡路島に生まれる
1972年 京都府立医科大学卒業
1974~1976年 ロンドン大学精神医学研究所およびモーズレイ病院にて研修
1981~1991年 北山医院精神科院長
1986年 国際精神分析学会正会員
1991年 九州大学教育学部助教授
1994年 同教授
2010年まで九州大学大学院 人間環境学研究院・医学研究院教授
専 攻:精神分析学
現 職:北山精神分析室,九州大学名誉教授,国際基督教大学客員教授,白?大学特任教授
著 書:悲劇の発生論(金剛出版),心の消化と排出(創元社),錯覚と脱錯覚(岩崎学術出版社),見るなの禁止(岩崎学術出版社),幻滅論(みすず書房),共視論(共著,講談社),劇的な精神分析入門(みすず書房),覆いをとること・つくること(岩崎学術出版社)その他多数
訳 書:ウィニコット=小児医学から精神分析へ,抱えることと解釈(以上監訳,岩崎学術出版社),ストレイチー=フロイト全著作解説(監訳,人文書院),フロイト=「ねずみ男」精神分析の記録(監訳,人文書院)その他

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内容説明

あとがきより■  欧米と日本の間で「日本の精神分析」が当初から抱えていた苦悩や葛藤,そしてそれなりにユニークな解決法が,ここに示されている。つまり,先に行く者は,時間をおいて後から行く者よりも,精神分析に対して強い愛と不安で動機付けられているからこそ,闘う姿を示すことになる。さらに,本書で同時に開示されるように,一般的にはあまり知られていない事柄だが,精神分析家とは,これこそ精神分析だ,あれは精神分析ではない,いやあれにもこれにもどちらにも精神分析的なところがある,いやどちらにもそのようなものはない,という,目に見えない心,それも無意識的な心の解釈論だからこその,引き裂かれるような言葉の道を生きていかねばならないのだ。  そういう意味で極めて本質的な問題提起を行う本書の出版を,直接的に決心させたきっかけは,意外にも中国においてであった。つまり,2010年11月に中国の北京で,「フロイトとアジア」というテーマの第1回国際精神分析協会アジア大会が開催されたことである。当日は,会場のあちこちで,「精神分析のコロナイゼーション(植民地化)」がキーワードとなり,さまざまな局面で話題になっていた。つまり,アジアにおける精神分析の本格的「侵入」に対して,抵抗が強まっているという意味で,迎えるアジア人と訪問する白人の双方で当然のごとく語られていたのだ。  同じような文脈だが,私も思い出すのは,後に訓練分析と認められた個人分析をロンドンで受けていた30歳の頃のことだ。つまり当時の,留学生の間で語られた,母国に帰国してからの使命(ミッション)を授けようとする分析家の欲望や期待にどう対応するかという話題である。私たちは,伝えられる精神分析と相対する時,伝えられる側は誰でも反応するものであり,それこそが,人間理解においては重要な手がかりになるのだと考える。すなわち,心の真実を発見することに対する抵抗を観察し分析することなしに,心の真実に至ることはできないのである。  そこには,少なくとも部分的には,心理的な葛藤のあったことと,「蓋をとる方法」としての精神分析に対する戦い,あるいは抵抗の要素があったということは間違いない。それで本書では,日本人の精神分析の積極的な取り入れの姿が描き出されるが,同時に,精神分析の取り入れに抵抗する姿も際立つことになる。さらには,その間にあるギャップを橋渡しする解決策も示されるだろう。これを資料として分析するならば,私たちについての在り方や生き方の洞察として得られるものは大きいだろう。  精神分析の侵入に対して当然のごとく生まれた抵抗とその自己分析的研究の歴史があった方が,頭ではすんなりと受け入れておきながら口で精神分析は死んだと言い出す場合よりも,将来的にはさらに深く根付くもののように思う。それを願って,これからも長い歴史になるはずの,日本の精神分析の黎明期の記録と個人的な解説を,私は世に送り出したい。

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