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続 解離性障害

脳と身体からみたメカニズムと治療

続 解離性障害

治療者は解離にどう対応すべきか。待望の続編

著者 岡野憲一郎
ジャンル 精神医学・精神医療
出版年月日 2011/08/26
ISBN 9784753310289
判型・ページ数 A5・256ページ
定価 本体3,400円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
 まえがき──なぜ続編を書くことになったか?
第1部 現代における解離
第1章 多重人格という心の不思議
第2章 解離性障害の現代的な意義
第2部 解離の歴史
第3章 精神分析理論からみた解離
第4章 ヒステリーの概念からいかに解離が生まれたか?
第3部 解離とストレス
第5章 解離はどうして起きるのか?
第6章 「関係性のストレス」の概念の発展
第4部 解離のメカニズム
第7章 心的外傷とレジリエンス──「解離しない能力」
第8章 身体レベルでの解離──転換症状をいかに捉えるか?
第5部 脳科学から見た解離
第9章 隠れた観察者
第10章 スイッチングのメカニズムについて
第6部 解離をいかに治療するか
第11章 まずは心理教育から
第12章 解離性障害の治療の際の基本的な心構え
第13章 各種の治療技法
第14章 症例Aの治療を通して
第15章 メールを用いた解離性障害の治療の効用
第16章 「火山モデル」を用いた説明
付 章 座談会「解離性障害によりよく対応するために──その出会いから症候学まで」
 岡野憲一郎,奥田 ちえ,柴山 雅俊,野間 俊一

 参考文献/あとがき/人名索引/事項索引
     
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岡野憲一郎(おかの けんいちろう)
1956年生まれ
1982年 東京大学医学部卒業,医学博士
1982~83年 東京大学精神科病棟にて研修
1983~85年 東京大学精神科外来部門にて研修
1986年 パリ,ネッケル病院にフランス政府給費留学生として研修
1987年 渡米
1989~90年 オクラホマ大学精神科レジデント
1990~93年 メニンガー・クリニック精神科レジデント
1994年 ショウニー郡精神衛生センター医長(トピーカ),カンザスシティー精神分析協会員
2004年4月に帰国
現 職 国際医療福祉大学教授
米国精神科専門認定医,国際精神分析協会,米国及び日本精神分析協会正会員,臨床心理士
著訳書 ある精神分析家の告白(ストリーン著,岩崎学術出版社),外傷性精神障害(岩崎学術出版社),日本語臨床Ⅰ─恥(共著,星和書店),恥と自己愛の精神分析(岩崎学術出版社),新しい精神分析理論(岩崎学術出版社),心のマルチネットワーク(講談社),中立性と現実─新しい精神分析理論2(岩崎学術出版社),自然流精神療法のすすめ(星和書店),気弱な精神科医のアメリカ奮闘記 (紀伊國屋書店),脳科学と心の臨床,解離性障害,治療的柔構造,新・外傷性精神障害(以上岩崎学術出版社)

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内容説明

第12章より抜粋■ DID(解離性同一性障害)の患者は治療者のもとにたどり着くまでにさまざまな誤解や曲解をくぐりぬけてきている可能性が高い。日本の精神医学的な診断技術はそのきめ細かさにおいて評価すべき点は多いものの,ことDIDに関しては,まだ本来の域には達していないといわなくてはならない。患者がかつて精神科医の診察を受ける機会があったということは,正しい診断に近づくための助けとなっていない場合が多いのである。 DIDのケースのインテーク面接を行った心理士や精神科レジデントがしばしば口にすることがある。それは病歴や症状の経過自体が非常に複雑で,聞いていて圧倒されて混乱するばかりだということである。実際彼女たちの症状の現れ方は多彩で,そこにいたる経緯も非常にこみ入っている場合が多い。しかも面談の途中で人格の交代が生じた場合などは,さらに事情は複雑になる。それまでに患者から得られた体験世界を二次元の平面にたとえるならば,それがいきなり三次元,四次元の立体になったような当惑をおぼえることになるだろう。 そもそも人格の交代現象自体が私たちの常識を遥かに超えている。なにしろ話しかけている患者のふるまいが突然変わり,異なる名前を名乗り,表情もしぐさも一変してしまうのである。治療者がそれに圧倒され,もはや治療的なかかわりを続けることを困難に感じてしまうのは,そのような場合であることが多い。周囲に適切なアドバイスやスーパービジョンを提供してくれる同僚や上司がいればまだいいが,そうでない場合はあっさりと治療を放棄して他に専門家を探すように患者に伝えるかもしれない。あるいは非常にそっけなく「うちはあなたのような解離性障害は治療できません」と告げるだろう。多くの患者にとっては,これはもうひとつの見捨てられ体験となる。  こう書くといかにも臨床家の意識の低さについて批判しているように聞こえるかもしれない。しかし考えてみると,実は治療者の混乱は患者の病理の反映なのである。患者は「まとまらない」や「自分がいったい誰だかわからなくなる」という悩みを抱え,外部でまとめてくれる人を求めて治療者のところに現れているのである。それを受ける側にその問題が投影すると考えるならば,治療者が混乱し,圧倒されるのはむしろ自然なことなのだ。 ここで大事なことは,患者のライフヒストリーを聞く側の治療者が,大いに混乱を感じつつもそれに耐え,その患者を一人の人間として抱え続けることである。そうすることで治療者は,患者の外部に存在し,そのイメージを統合しつつ彼女たちを見据える存在としてすでに治療的な役割を担い始めているのである。

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