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母子臨床の精神力動

精神分析・発達心理学から子育て支援へ

母子臨床の精神力動

母子関係理解と支援のための珠玉の論文集

著者 ラファエル‐レフ J.
木部則雄
ジャンル 精神分析
出版年月日 2011/11/09
ISBN 9784753310326
判型・ページ数 A5・400ページ
定価 本体6,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
1章 顔と表情──乳児の鏡としての母親の顔(K・ライト)
2章 子どもの発達における母親と家族の鏡役割(D・ウィニコット)
3章 2 カ月児との会話(C・トレヴァーセン)
4章 乳児の情緒と情緒のコミュニケーション(E・Z・トロニック)
5章 かいじゅうたちのいるところ(J・ラファエル‐レフ)
6章 早期対象関係における皮膚の体験(E・ビック)
7章 思考作用についての理論(W・ビオン)
8章 赤ちゃん部屋のおばけ──傷ついた乳幼児‐母親関係の問題への精神分析的アプローチ(S・フライバーグ他)
9章 乳幼児期における心理療法的介入──頑固な泣き叫びを主訴とする対照的なふたつの症例(J・ホプキンス)
10章 乳幼児の睡眠に関する問題(D・ドーズ)
11章 夜の中へ──子どもの夢の本(E・H・スピッツ)
12章 無意識によるコミュニケーション(E・バリント)
13章 デッドマザー・コンプレックス(A・グリーン)
14章 喜びと苦悩──胎児検査への反応(G・ホイットニー)
15章 先天奇形を伴う乳児の子育て──自尊心の調整(D・ミンツァー他)
16章 アマンダ──乳房としての母親を見出した哺乳瓶で養育された乳児の観察と考察(F・グリアー)
17章 カニバリズムと救いとなるもの──いつも乳房が一番よいのか(J・ラファエル‐レフ)
18章 精神分析的洞察と関係性(I・ザルツバーガー‐ウィッテンバーグ)
19章 赤ん坊の言葉を理解すること(J・ホーソン)
20章 子どもの行動が母親の精神衛生に及ぼす影響(L・マリー)
21章 周産期における双子の一方の喪失のマネージメント(E・ルイス他)
22章 死産や新生児の死後の妊娠──心理的リスクとそのマネージメント(S・ボーン他)
23章 乳幼児期の授乳や食事に関する障害(S・アクアローネ)
 
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木部 則雄(きべ のりお)
1983年 京都府立医科大学卒業
同 年 聖路加国際病院小児科
1986年 帝京大学医学部付属病院精神神経科
1991年 タヴィストック・クリニック児童家族部門に留学
現 職 白百合女子大学 文学部 児童文化学科 発達心理学専攻教授
著訳書 こどもの精神分析(岩崎学術出版社),クラインとビオンの臨床講義,入門メルツァーの精
神分析論考(共訳 岩崎学術出版社),クリニカル・クライン(共訳 誠信書房),こどもの
こころのアセスメント(監訳 岩崎学術出版社),自閉症の精神病理への展開(監訳 明石
書店)

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内容説明

本書は英国で子育て支援の専門家となる人のためのセミナーのテキストである「PARENT-INFANT PSYCHODYNAMICS」の全訳である。本書は母子関係を理解するために必須な精神分析,発達心理学の諸論文から構成されている。本書のタイトルは「母子臨床の精神力動」としたが,母子臨床には,母子だけでなく父親,周囲の人々との関与の意味を込めている。本書の編者であるJoan Raphael-Leff は,女性性,妊婦から母親になる心理的過程,および母親と胎児,新生児との心理的な相互関係に関する研究,臨床における世界的な第一人者である。  我が国の子育て支援は,主にソーシャルサポートを中心としたものであり,精神分析,発達心理学的視点からの直接的な実践アプローチへの示唆はほとんど為されていない。しかし,日常の子育て支援の相談に深刻な母子関係の問題,虐待などが潜み,より専門的な施設や医療機関への相談,受診に至る症例もしばしば見受けられる。こうした深刻なケースにおいて必要とされるのは,精神分析や発達心理学的知識に裏付けられた直接的実践アプローチによるサポートである。このような視点からすれば,本書は日本より深刻な現状に苛まれている英国の母子臨床のテキストであり,その実践に必須な豊かな知見に溢れた論文集である。  本書はRaphael-Leff によって4 部に分類され,Ken Wright による「第1章 顔と表情──乳児の鏡としての母親の顔」,序章および各部の扉において,本書の大枠についての説明が為されている。しかし,私はここで本書の新たな読み方をひとつ提示したいと思う。  まず,健康な母子関係というのはどのようなものであるのかについて詳細に知って欲しい。そのためにはFrancis Grier による乳幼児観察の総括である「第16章 アマンダ――乳房としての母親を見出した哺乳瓶で養育された乳児の観察と考察」と,Joan Raphael-Leff によるその論文へのコメント「第17章 カニバリズムと救いとなるもの──いつも乳房が一番よいのか(アマンダに関する考察)」を読むことをお勧めしたい。それによって,健康な母子関係にも必ず潜む関係性の精神病理の詳細を理解することができるはずである。つまり,完璧な乳児,母親,そして母子関係は存在することはなく,理想に過ぎないということである。  次に,母子間の空想的なやりとり,世代間伝達などの早期母子関係の障害についての論文へと読み進める。Joan Raphael-Leff による「第5 章 かいじゅうたちのいるところ」は,胎生期の母子のやりとりの場である胎盤を中心に考察したものである。次に,乳幼児精神医学の金字塔としてのSelma Fraiberg 他による臨床実践の論文である第8 章 赤ちゃん部屋のおばけ──傷ついた乳幼児‐母親関係の問題への精神分析的アプローチ」は必読の論文である。そして,Andr? Green の「第13章 デッドマザー・コンプレックス」は乳幼児期の母子の病的なやりとりに関して記載されている。Enid Balint による「第12章 無意識によるコミュニケーション」は一世代を超えた世代間伝達であり,興味深い。

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