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どの子もこぼれ落とさない授業づくり45

これからの特別支援教育の話をしよう

どの子もこぼれ落とさない授業づくり45

発達障害のある子もない子も元気がでる授業

著者 佐藤曉
ジャンル 発達・思春期・老年
自閉症・発達障害
出版年月日 2012/01/16
ISBN 9784753310388
判型・ページ数 A5・168ページ
定価 本体1,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

●目 次

序章 「授業・学校づくり」のラフ・スケッチと若干の理論的下敷き
    1 子どもに学びをもたらす授業  
    2 子どもの活動  
    3 困り感  
    4 授業・学校づくり――提案授業と研究協議会  
    5 インクルージョン  
第1章 「学習課題」を設定する   
   一、「ねらい」を「学習課題」に書き換える  
    ①「学ぶ喜び」をもたらすための「ねらい」   
    ②「ねらい」を決める   
    ③「学習課題」を設定する  
   二、「学習課題」に向かわせるために  
    ④トランポリンモデル  
    ⑤「はしご課題」を設定する  
    ⑥「手だて」を工夫する  
   コラム1  大学の授業から
第2章 「学び合いのプラン」を考える
   一、教材とつなぐ
    ⑦「学習課題」をつかませることから  
    ⑧教材から「かたどる」  
    ⑨子どもと教材をつなぐ手だて  
   二、仲間とつなぐ基礎
    ⑩二つの「協同化」
    ⑪子どもをつなぐ媒介を用意する  
    ⑫学ぶ値打ちのある学習課題を用意する  
   三、仲間とつなぐ技法
    ⑬机のかたち  
    ⑭ペア活動      
    ⑮班活動  
    ⑯全体でつなぐ  
   四、「学び合い」と「ケア」
    ⑰「聴く」ことは「承認」すること  
    ⑱語り出すことは傷つくこと  
    ⑲依存的自立  
    ⑳居場所は、人と人とのあいだにある   
   五、自分の言葉で語る
    21語ること、表現すること  
    22教師のしゃべりすぎはいけない  
    23世界を見る解像度を高める  
    24できたてほやほやの言葉  
   コラム2 授業の軸と学級崩壊
第3章 通常の学級における特別支援教育
   一、支援に向けた考え方
    25子どもを困らせていないか  
    26「困り感」の軽減  
    27学びの支援  
   二、教育的アセスメントとは
    28子どもの実態は、人によって語られるもの  
    29「指導法」は、実態把握のツール  
    30試行的な指導を通しての実態把握  
   コラム3 付き人支援
第4章 特別支援学級の学級経営と授業づくり
   一、特別支援学級の学級経営
    31三つの環境を整える  
    32学級経営の柱を立てる  
    33つけたい力を精選する  
   二、特別支援学級の授業づくり
    34「学び合い」を意識する  
    35適切な手だてをして子どもから離れる  
   コラム4 定着より、できた・分かった経験
第5章 授業・学校づくり
   一、はじめの一歩       
    36足場を固める  
    37他人の授業を見て学ぶ  
    38公開が進まない理由  
   二、提案授業の準備と参観の方法
    39指導案をどうするか  
    40座席表を用意して子どもの学びと育ちを見取る  
    41記録をどうするか  
   三、研究協議会のすすめ方
    42協議の柱
   四、インクルーシブ教育に向けて 
    43インクルージョン・レベル1  
    44インクルージョン・レベル2  
    45学びの質の保証  
   コラム5 先を急がない
おわりに インクルーシブ教育への道
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佐藤 曉(さとう さとる)
1959年,埼玉県に生まれる。
筑波大学第二学群人間学類卒業,同大学院教育研究科修了。博士(学校教育学)。
現在,岡山大学大学院教育学研究科教授。
著書 発達障害のある子の保育の手だて・実践満載発達に課題のある子の保育の手だて(岩崎学術出版社),発達障害のある子の困り感に寄り添う支援・見て分かる困り感に寄り添う支援の実際・自閉症の困り感に寄り添う支援・子どもも教師も元気が出る授業づくりの実践ライブ(学習研究社)その他多数。

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内容説明

どのような授業をしたら、こぼれ落ちる子どもをつくらず、すべての子どもに質の高い学びをもたらすことができるのでしょうか。また、そのような授業が提供できる学校づくりを、どう進めていったらいいのでしょうか。こうした問いに対して、本書では、具体的な実践をもとにお答えしようと思います。  詳細については本文をお読みいただくとして、ここでは、問いをたてるにいたった経緯を、かいつまんでお話しさせてください。 私が学校とのお付き合いを始めたきっかけは、障がいのある子どもへの支援方法をアドバイスする巡回相談でした。二十五年くらい前のことです。その後、発達障がいの問題がある種のブームになって、学校からの要請が急激に増加しました。  ところが、それに応えていくなかで、一つの疑問がわいてきました。この子たちにまつわる問題を解決するためには、個別支援もさることながら、授業の本体をなんとかしなくてはいけないのではないかと。クラスが落ち着かなかったり、授業の足腰が弱かったりするがゆえに「困り感」を抱える子どもが量産されているという現実が、あちこちで見受けられたのでした。  この傾向は、皮肉なことに、特別支援教育の推進と比例するかのように強まっていった印象があります。そこへの反省もあって、ここ数年は、特別支援教育領域の人たちも、授業づくりに目を向けるようになりました。  しかし、授業の見直しをどう進めたらいいのか。いや、それ以前に、どんな授業をしたら子どもが救えるのか。七、八年前までは、私自身も、明確な答えを持ちあわせていなかった気がします。ここのところよく耳にする「特別支援教育の視点を取り入れた授業づくり」とか「授業のユニバーサルデザイン」とかいったキャッチフレーズがすでにそのころから言われはじめていましたが、いささか表面的な発想に、もうひとつ乗り切れない感覚がありました。かといって、これでいけると確信がもてる方向性も打ち出せずにいたのですけれど。  そんな折、岡山の岡輝中学校では、森谷正孝校長が中心となって協同学習による学校改革に着手していました。森谷先生が声をかけてくださり、中学校の校長室でお会いしたのが佐藤雅彰先生〈元富士市立岳陽中学校長〉でした。協同学習については、以前からいくつかのパイロット校に足を運んで知ってはいましたが、当時はまだ迫ってくるものがありませんでした。それを変えてくれたのが、佐藤雅彰先生です。  校長室で雑談をしていたところ、雅彰先生が、「『困り感』というのは、とてもいい言葉ですね」と話しかけてくださいました。二〇〇四年に書名として「困り感」を使って以来、多くの人に愛用してもらった言葉ではありますが、違う畑の人から聞くのは、はじめてだったかもしれません。おそらく、雅彰先生がもともと使っていた言葉を、「困り感」の本につなげて語ってくださったのだと思います。お話をうかがうにつれ、この先生は大切なことを私に教えてくれる人だと直感しました。かってに師と仰いで、もらえるものは全部もらおうと心に決めたのでした。 その後、いまのスタイルの授業・学校づくりに至っています。折しもインクルーシブ教育の考え方が提出され、今度は、協同学習とインクルーシブ教育との親和性を感じています。その過程で立てられたのが、冒頭の問いです。  それゆえ、この本で語られる提案のほとんどは、協同学習とインクルーシブ教育の和集合に属しています。以下、ざっとですが、本の内容をご案内しましょう。  序章では、本書でお伝えしたいことのあらましを、コンパクトにまとめました。また、その輪郭が明瞭になるよう、理論的な背景についてもいくらか触れています。できるだけ専門用語を使わずに書きましたので、一読してみてください。  第1章と第2章は、「子どもの活動」がテーマです。子ども自身に活動をさせなければ、力はつきません。子どもが学びひたれるような活動をいかに仕組めるか、それが教師の腕の見せ所です。第1章では、授業の「ねらい」から「学習課題」を設定するプロセスに焦点を当てました。続いて第2章では、子どもと教材をつなぎ、そして子ども同士をつなぎながら、最終的に子どもが自分の言葉で語れるようにする指導技術を、具体的に解説しています。  第3章では、「困り感」を抱く子どもを支える手だてが紹介されています。子どもが困っていても気づいてもらえないまま、予定された授業だけが淡々と進んでいく光景は、見ていてとても悲しくなります。「授業のなかで困っている子どもは、授業のなかで救う」、それが私たちのコンセプトです。  第4章のテーマは、特別支援学級の学級づくりと授業づくりです。個別的な手だてを整えながらも、子ども同士が学び合える授業をつくりたいと思います。  第5章と終章では、研究協議会の改善を核にした授業・学校づくりの実践を取り上げるとともに、インクルーシブ教育に向けた展望を示しました。提案されている授業・学校づくりのプランは、インクルーシブ教育を実現させるためのあらたな地平を切り開くことになるでしょう。 なお本書は、私と小学校研究主任のフク先生とが対話をする形式で進行していきます。実際に授業・学校づくりの舵取りをするのは、研究主任の仕事です。研究主任の先生がしっかりしていると、学校は動きます。  この本には、現場で見つけた実践の知恵が、たくさん紹介されています。おじゃました学校の先生がたには、心から感謝しています。ただ今回は、このまえがきを除いて、学校名や個人のお名前を掲載するのを差し控えました。個人情報の問題もあるのですが、むやみな視察によって、対応する先生たちに不要な時間を費やしてほしくなかったからです。授業・学校づくりは、静かでローカルな営みであってほしいというのが、私の願いです。学校は、子どもが大人の都合で振り回されることのない場所でなくてはいけません。

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