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思春期の意味に向き合う

成長を支える治療や支援のために

思春期の意味に向き合う

思春期を支える際の基本姿勢を平易に示す

著者 水島広子
ジャンル 精神医学・精神医療
発達・思春期・老年
出版年月日 2012/03/19
ISBN 9784753310418
判型・ページ数 4-6・200ページ
定価 本体2,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

■目次
はじめに
第1章 思春期の意味──「役割の変化」
第2章 親にとっての「役割の変化」としての思春期
第3章 思春期の意味をふまえた治療のあり方
第4章 思春期の治療者に必要とされる姿勢
第5章 医学モデルで「役割の変化」を乗り越える
第6章 「役割の変化」のハードルを上げる親の問題
第7章 いじめられ体験からの「役割の変化」
第8章 問題行動のとらえ方
第9章 思春期の光を信じる
あとがき
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水島広子(みずしま ひろこ)
1992年 慶應義塾大学医学部卒業
1992年 慶應義塾大学医学部精神神経科勤務
1999年 慶應義塾大学大学院修了(医学博士)
■現在:対人関係療法専門クリニック院長,慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科),対人関係療法勉強会代表世話人,アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表
■著書:怖れを手放す─アティテューディナル・ヒーリング入門ワークショップ(星和書店),自分でできる対人関係療法(創元社),拒食症・過食症を対人関係療法で治す(紀伊國屋書店),臨床家のための対人関係療法入門ガイド(創元社),対人関係療法マスターブック──効果的な治療の本質(金剛出版),対人関係療法でなおす うつ病(創元社),対人関係療法でなおす 双極性障害(創元社),対人関係療法で改善する 夫婦・パートナー関係(創元社),10代の子をもつ親が知っておきたいこと(紀伊国屋書店),摂食障害の不安に向き合う──対人関係療法によるアプローチ(岩崎学術出版社),トラウマの現実に向き合う―ジャッジメントを手放すということ(岩崎学術出版社)他
■訳書:探すのをやめたとき愛は見つかる,臨床家のための対人関係療法クイックガイド,グループ対人関係療法(以上創元社),対人関係療法総合ガイド(岩崎学術出版社)他

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内容説明

思春期の治療においては、過保護さと、過保護を手放すことの両方が必要だと思っている。周囲も巻き込んでとても丁寧に関わることが必要な時期があるのは事実だが、まだまだ心配があっても手放すことに価値がある時期もある。これらの見極めこそ、治療のダイナミズムの楽しみだとも言える。このダイナミズムは、大人の治療にも生かしていくことができるものである。人は強いストレス下にあるとき、そして、心を病んだとき、無力感が強まり、自己肯定感が低下する。症状による直接の影響だけでなく、自分という存在の価値や自分の力を感じられない状態になるのだ。そんなときには、「過保護」な関わりが必要となる。治療者が積極的に関わり、必要な情報を与え、患者の代弁者として周囲の説得を試み、好ましい環境を作る、というような局面がプラスの意味を持つ。 しかし、ある程度症状が和らぎ、自分に起こったことの意味がわかり、見通しが立ってきた時点では、むしろ過保護を手放して、本人が自分でやっていく力を信じる必要が出てくる。つまり、治療者による無条件の肯定的関心や、温かいサポートは、患者が自分自身にそれを与えてあげられない間の代替品なのだと思う。 * 本書は、臨床家向けの体裁をとってはいるものの、実はより広い領域の方にも読んでいただきたいという思いで書いた本である。本来は治療対象となるような思春期患者が実際に臨床現場に現れることは決して多くない。教育現場だけで対処されていることも一般的だし、思春期の症状は「問題行動」として現れることが多いため、警察や司法などの場で対応されていることも少なくない。それが治療対象となるものであることを知らなければ、治療への引き継ぎが考慮されることもないだろう。このことは患者が適切な治療を受ける機会を奪ってしまう。 また、どのような領域で患者と接する場合であっても、その基本姿勢は「思春期という『役割の変化』」の意味をふまえたものであってほしい。より広く考えれば、「患者」と呼べないレベルの思春期の子に対しても、患者になることを予防するという観点から、やはり同様の配慮を求めたい。つまり、思春期に現れる特徴・症状やその対処法については、臨床家だけが知っているのでは全く不十分であり、臨床家はもちろんのこと、それ以外の領域の方にもできるだけ知っていただきたい、という思いが、本書を執筆した一つの主要な動機である。 その際の原点となるのが、本書のタイトルにある「思春期の意味」である。思春期の意味をよく理解すれば、どのような介入が適切で、どのような介入が不適切であるかを判断することができるだろう。「思春期の意味」を踏まえた介入は、目覚ましい効果をもたらすのである。

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