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解離の病理

自己・世界・時代

解離の病理

時代とともに変貌する病像を理解するために

著者 柴山雅俊
ジャンル 精神医学・精神医療
出版年月日 2012/11/15
ISBN 9784753310524
判型・ページ数 A5・208ページ
定価 本体3,400円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
第Ⅰ部 解離とは何か
 ・解離のルーツを訊ねて…松本雅彦
 ・解離論の新構築…森山公夫
第Ⅱ部 解離と周辺病態
 ・高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と解離…広沢正孝
 ・BPDと解離性障害…岡野憲一郎
 ・解離性障害の背景…内海健
第Ⅲ部 現代社会と解離
 ・抵抗する解離──コントラ・フェストゥムと現代…野間俊一
 ・〈中心〉のない多元化──アイデンティティー失効からアスペルガー症候群まで…大饗広之
 ・現代社会と解離の病態…柴山雅俊
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柴山雅俊(しばやま まさとし)
1953 年愛知県生まれ。東京大学医学部卒業。医学博士。
虎の門病院精神科医長,東京大学医学部精神神経科講師を経て,
東京女子大学現代教養学部人間科学科心理学専攻教授。
専攻:精神病理学
著書: 解離性障害─「うしろに誰かいる」の精神病理(ちくま新書,2007),解離の構造──私の変容と〈むすび〉の治療論(岩崎学術出版社,2010),解離性障害のことがよくわかる本(監修,講談社,2012)など。

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内容説明

今日、解離の臨床において、患者側と治療者側にはいくつかの不幸なすれ違いがある。  一つは診断についてである。解離の患者は圧倒的に統合失調症と誤診されることが多い。もちろん統合失調症と解離性障害の鑑別が困難なケースも存在しないわけではない。併存診断せざるを得ないケースが存在するのも確かである。しかし、たいていの場合、その鑑別はそれほど困難ではない。幻聴や妄想様観念、興奮、錯乱などによって安易に統合失調症と診断することは避けなくてはならない。  もう一つのすれ違いは治療者側の解離に対する眼差しが関係している。解離性障害の診断がついている場合でも、治療者が治療について自信を持てないために、「ここでは診られません」と治療を断ることが多い。治療を受け容れてくれる治療者を求めて、患者はあてどなくさまようことになる。治療者が解離の病態治療に必要な理解と余裕を持てないでいるのである。  精神科治療、とりわけ解離の治療ではこの治療者側の理解と余裕が重要である。解離の患者の多くは自らの断片化した体験に困惑している。そのため治療者がそのような体験についてどのように理解できるのか患者に説明することはきわめて重要である。彼女ら/彼らは納得できる説明を求めているのである。  解離の患者は治療者をよく見ている。彼女ら/彼らは自分に対する治療者の認識や感情に大きく影響を受ける。治療者にひどく傷つけられたと一方的に感じたり、治療者の欲望に合わせてしまったりする傾向がある。こういったことは彼女ら/彼らの被暗示性が高いことを示している。であるならば、治療者が適切に接すれば患者はより安定化する可能性も高いということになる。実際、病気についての説明をするだけで症状が軽快する患者も多い。また逆に治療者が拒否的あるいは不安な態度をとれば、それに応じた病像を呈することになり、事態はよりいっそう混乱を招くこともあるかもしれない。  このように患者は治療者の作り出す自分に対するイメージに大きく左右される。解離の病態は治療者と患者の抱く幻想の相互作用によって作りだされるといってもよいだろう。ヒステリーが時代と地域によってその病像を変化させてきた一因はここにある。こういった意味でも解離の全体像を適切に把握し、無理のない了解図式を獲得しておくことは解離の臨床では欠かせないものになっている。本書の企画の意図はここにある。  本書では解離の症候から自己の構造論、時代背景などできるだけ全体像を描き出されるようにした。各論者がさまざまに論じる中に、ぼんやりと解離が像を結びはじめているのがわかると思う。  執筆をお願いした論者はそれぞれ精神病理の第一線で活躍されており、臨床を大切にしている方々ばかりである。オリジナリティに溢れ、説得力のある論文集になったと感謝している。(まえがきより抜粋)

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