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統合的方法としての認知療法

実践と研究の展望

統合的方法としての認知療法

認知療法の現在と未来の可能性を探る

著者 東 斉彰 編著
ジャンル 行動療法・認知療法
出版年月日 2012/11/12
ISBN 9784753310531
判型・ページ数 A5・224ページ
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき

序章 認知療法の発展に寄せて(大野裕)
1.はじめに 2.3つのレベルのエビデンス 3.おわりに

第Ⅰ部 総論
はじめに
第1章 統合的方法としての認知療法(東斉彰)
1.心理療法の歴史的概観 2.哲学から見た心理学,心理療法 3.認知療法と他学派との関係 4.心理療法の統合性 5.認知療法の統合的理解 6.まとめにかえて:統合的方法としての認知療法

第Ⅱ部 理論と研究
はじめに
第2章 認知療法の理論的展開 (井上和臣)
1.歴史・哲学的淵源 2.Beckの着眼 3.サイコセラピーの基準 4.理論・治療の科学的基礎 5.作用機序 6.受容 7.統合の観点 8.治療者論

第3章 パーソナリティ障害に対するスキーマ療法の進歩(ジェフリー・E・ヤング)(監修者:伊藤絵美,翻訳者:佐々木淳)   
1.スキーマ療法の定義 2.中心的な前提と幼少期の中核的欲求,大まかな目標 3.基本的なスキーマモデルの特徴 4.より困難な事例と取り組むためのモードアプローチの開発 5.スキーマモードの概念 6.モードアプローチの適用とモード戦略 7.モードに対するスキーマ療法の目標 8.スキーマ療法の無作為化比較研究 9.治療的再養育法 10.例:懲罰的ペアレントモードに対する取り組み 11.スーパーヴィジョンで扱うべきよくある治療者の落とし穴とスキーマ

第4章 認知療法研究における質的研究の役割(岩壁茂)
1.はじめに 2.実証的に支持を得た心理治療 3.ESTsの成功率 4.効果の仕組み 5.変わりゆくエビデンスの定義 6.質的研究 7.質的研究の目的 8.質的研究とパラダイム 9.質的研究のプロセスと方法 10.量的研究と質的研究の「質」 11.認知療法研究における質的研究の役割 12.主観的体験とグラウンデッドセオリー法 13.面接プロセスのモデル化と課題分析 14.研究と実践を結ぶ系統的事例研究 15.おわりに

第Ⅲ部 臨床
はじめに
第5章 認知行動療法の臨床的発展(伊藤絵美)
1.はじめに:本章のコンセプト 2.認知行動療法の歴史的起源 3.認知行動療法の臨床的展開 4.様々な場での認知行動療法の実践 5.おわりに

第6章 認知療法と治療関係(杉山崇・巣黒慎太郎・佐々木淳・大島郁葉)   
1.はじめに 2.治療関係と認知療法 3.事例 4.総合考察

第7章 感情調節困難の認知行動療法―日本でのBPD などの支援の可能性(遊佐安一郎・坂野雄二・伊藤絵美・井上和臣・熊野宏昭)   
1.はじめに 2.弁証法的行動療法 3.スキーマ療法 4.討論

終章 認知療法のこれから(東斉彰)

あとがき
索引

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内容説明

日本に認知療法,認知行動療法が導入されてから20年足らず,初めの数年こそ細々と臨床の一端を担っていたが,ここ10年程の発展は目覚ましいものがある。最近まで日本の心理療法は,クライエント中心療法と精神分析療法が中心であったが,必ずしも勢力の強くなかった行動療法が認知要因を取り込み認知行動療法として台頭してきたことを加えて,認知療法および認知行動療法としてまたたく間にわが国の中心的な療法となり現在に至っている。これほどの短期間で認知療法が大きな力を得たのはいかなる理由であろうか。今から100年ほど前にFreudの精神分析療法から始まった現代の心理療法は,数々の心理療法学派の誕生を経て,国際的に見ても今まさに認知療法,認知行動療法に結実しようとしている。“認知行動療法” と呼称されるがごとく,認知療法,認知行動療法は行動療法との関係が深く,行動療法の発展型と考えられることも多い。しかし,わが国では認知行動療法と称して心理療法を行っている臨床家の間にも様々な立場があり,学習理論や応用行動分析を基本概念としているものから,Beckが提唱した認知モデルを基礎としているもの,あるいは精神分析でいう前意識と同義に自動思考を扱うものまで幅広く,その理論的背景は大きく異なっているのが現状である。つまり,一つの概念としての認知療法,認知行動療法があるのではなく,様々な理論的背景,技法的多様性をもつ,統合的な方法としてのそれがあるといえる。2001年に発足した日本認知療法学会は,2011年9月~10月に第11回大会を大阪にて開催した。大会テーマとして「日本における認知療法の歴史,現状,未来」を掲げ,この10年の間の認知療法の発展過程,今現在の実践と研究の状況,そして将来の方向性を展望することを念頭にプログラムが構成された。海外招聘講演としてスキーマ療法の創始者のJeffrey Young博士を招き,認知療法を深化させたその独自の方法論を論じていただいた。本書は,この第11回大会のプログラムのうち,上記のような日本での認知療法,認知行動療法の発展過程と未来を表すような講演やシンポジウムをピックアップしたものに,新たな書き下ろしの論文を加えたものである。ここで,認知療法と認知行動療法という2つの名称を用いる意味について付言しておきたい。認知療法は,Beckがうつ病の心理療法として開発したもので,元々は精神分析の研究の際に,ネガティブな自動思考が感情障害の原因になっていることから,ネガティブな認知を見出し,アセスメントと自動思考やスキーマの介入により認知の再構成を図ることを方法として構築したものである。一方認知行動療法は,1950年ごろから綿々と続いてきた行動療法の理論と方法に,1960年代に刺激と反応の媒介変数としての認知が取り込まれ,機能主義的な随伴関係という基本概念の中で発展してきたものである。つまり,認知療法は状況,認知,感情の相互関係を基本とする認知モデルを,認知行動療法は環境,行動,結果の随伴性を基本とする学習理論を,それぞれ理論的背景としており,その意味で理論的に異なる治療法といえる。ただ使用する技法は,認知再構成法を主とする認知的技法,エクスポージャーやソーシャルスキルトレーニングなどの行動的技法を共に用いており,技法的には区別がつかないことも多い。本書では主として前者の認知モデルを基礎とした認知療法を念頭において編まれているが,厳格にそれを守ったわけではなく,行動療法的な観点も含み込んだ認知行動療法も論点に応じて書かれていることをお断りしておきたい。(「あとがき」より)

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著者情報

東 斉彰 編著

1987年関西学院大学大学院文学研究科博士前期課程修了。大阪心理療法センター所長,九州大学医学部付属病院心療内科技官,一般財団法人住友病院臨床心理科主任を経て,現職広島国際大学大学院心理科学研究科実践臨床心理学専攻教授,大阪大学大学院非常勤講師,同志社大学・実証にもとづく心理トリートメント研究開発・普及促進センター嘱託研究員(アドバイザー)。著書 『 統合的観点から見た認知療法の実践』(岩崎学術出版社)『カウンセリングの成功と失敗』(分担執筆,創元社),『認知療法ケースブック』(分担執筆,星和書店),『発達臨床心理学ハンドブック』(分担執筆,ナカニシヤ出版),『これからの心理臨床』(分担執筆,ナカニシヤ出版),『パーソナリティ障害の認知療法』(共著,岩崎学術出版社),『心理臨床を見直す“介在” 療法』(分担執筆,明石書店)訳書 『 行動療法の展開』(共訳,二瓶社),『うつを克服する10 のステップ うつ病の認知行動療法 セラピスト・マニュアル』(監訳,金剛出版),『うつを克服する10 のステップうつ病の認知行動療法 ユーザー・マニュアル』(監訳,金剛出版)

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