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ウィニコットを学ぶ

対話することと創造すること

ウィニコットを学ぶ

「ともにいること」を重視する治療論への誘い

著者 館 直彦
ジャンル 精神分析
出版年月日 2013/06/24
ISBN 9784753310609
判型・ページ数 A5・224ページ
定価 本体2,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
 
第Ⅰ部 ウィニコット入門
第1章 ウィニコット理論はどんな理論なのか
第2章 ウィニコットの生涯と人物像
第Ⅱ部 ウィニコットの主要論文を読む
第3章 「原初の情緒発達」(1945)を読む
第4章 「移行対象と移行現象」(1951/1971)を読む
第5章 「親‐乳幼児関係の理論」(1960)を読む
第6章 「遊ぶこと:理論的考察」(1968)を読む
第7章 「対象の使用と同一化を通して関係すること」(1968)を読む
第Ⅲ部 ウィニコットの治療論
第8章 子どもの治療──『子どもの治療相談面接』(1971)と『ピグル』(1977)
第9章 成人の治療──依存への退行,ガントリップの治療,解釈をめぐって
第Ⅳ部 もっとウィニコットを学ぶ
第10章 ウィニコット理論の受容と展開
第11章 ウィニコット関連読書案内
コラム1対象関係論はどのような理論なのか?
コラム2英国精神分析協会とウィニコット
コラム3ウィニコットの受けた教育分析──ストレイチーとリヴィエール
コラム4ウィニコットの伝記
コラム5ウィニコットとバリント
コラム6ウィニコットとミルナー
コラム7ウィニコットとビオン
コラム8ウィニコットと現代の乳幼児精神医学──間主観性,情動調律の理論を中心に
コラム9ウィニコットとアメリカ精神分析
コラム10ウィニコットと発達障害
コラム11ウィニコットとボウルビィ
コラム12ウィニコットとリトル
コラム13マシュド・カーンの問題
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館 直彦(たち なおひこ)
1953年 東京に生まれる
1981年 大阪大学医学部卒業
1995年 東京慈恵会医科大学講師
2004年 天理大学大学院臨床人間学研究科教授
現 職 たちメンタルクリニック,個人開業
著訳書 『境界例』(共編著)岩崎学術出版社
『現代対象関係論の展開』岩崎学術出版社
ボラス著『精神分析という経験』『対象の影』(監訳)岩崎学術出版社
エイブラム著『ウィニコット用語辞典』(監訳)誠信書房 その他多数

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内容説明

ウィニコットの治療論では,全体を総合的に見ていく視点が特に重視される。また,患者が今,どのような(発達)段階を治療の中で展開していて,何と格闘しているかを理解することに注目する。それに対して治療者は何をすべきか,ということに関しては,ウィニコットは,何よりも大事なのは患者が自分で考え,自分で発見することであり,それを援助するのが治療者の役割であると主張する。その基盤となるのは,治療者と患者の関係であるが,患者が自分で発見できるためには,必要に応じてマネージメントしていくことが大事である一方,治療者はひたすら患者の連想が展開するのを待つことも大事である。そうでないと,たとえば,治療者が物知り顔に解釈を行うことなどで,せっかくの発見の機会を患者から奪ってしまうことが起こりうる。もちろん,治療者に失敗はつきものであり,それどころか,失敗があって初めて認識されることもあり,失敗が問題なのではなく,失敗した時にどのように対応するかが重要なことは言うまでもない。そして,そのようなアプローチが特に役立つのは,言葉では十分にコミュニケートできないプリミティヴなレベルにある患者たちだが,ウィニコットの治療論は,主としてそのレベルの人たちをどのように扱うかを中心に展開しており,現代の私たちの臨床のニードに合うものだと思う。  本書は,どこから読みだしても良いように構成したが,やはり臨床的な見方が中心になると思うので,彼の治療論をまとめた第Ⅲ部から読み始めるのも一つの方法である。ウィニコットは,一旦身近に感じられるようになると,ぐっと読みやすくなると思う。第Ⅰ部は,ウィニコットの理論を紹介する部分なので,少し理屈っぽくなっているところもあるが,彼の理論全体を展望できるように心がけた。さらに,図を参照して読んでいただければ,理解が深まると思う。第Ⅱ部は,読者にウィニコットと直接対話してもらうための部分である。本当は彼のオリジナルな論文をそのまま掲載すれば済むものでもあるが,それでは全体のつながりや,個々のフレーズの意味が分かり難い場合があるかと思い,抜粋して私の解説を付した。蛇足になっていなければ良いのだが……。第Ⅳ部は,ウィニコット理論の展開について述べた部分なので,ここから読み始める人はあまりいないだろう。いずれにしてもウィニコットの理論は,明解に体系づけられているわけではなく,ある概念の意味を辿って行くと,別の概念に到達する。そして,それを辿って行くと,また別の概念へ至る,というように,どこまで行っても疑問は解決できないように構成されている。しかし,そのようにして,私たちをどんどん引っ張り込み,対話へと,そして思考へと誘い込むようになっている。そのため,ウィニコットを学ぶためには,取りあえずは,しばらく彼と一緒に彷徨って歩くしかないのではないか,と思う。本書でも,あまりにも整理し過ぎないように,心がけた。特に,第Ⅰ部と第Ⅱ部では,繰り返しが多いと思われるかもしれないが,それはある程度意図してのことである。もっとも,本書は主に初心者に向けて書いたものなので,ウィニコットが扱った全てのテーマに言及するのではなく,ある程度テーマを絞り,全体として見通しが良くなるように心がけた。ここで取り上げたテーマは,早期発達と環境との関わり,パラドックスと遊ぶこと,そして治療論に関連するものである。一方,割愛してあまり論じなかったテーマには,反社会性(非行),精神‐身体,青年期,一人でいる能力,抑うつ,罪悪感,愛情剥奪などがある。実際,ウィニコットは600篇もの論文を書いているので,取り扱ったテーマも,ほんの触りだけ,ということになるかもしれない。もっとも,著者としては,もっとウィニコットを読んでみたい,と思っていただければ有難いのである。解説書とはそのようなものであり,良い解説書だったなら,移行対象のように,しばらく遊ばれた後,忘れ去られるものだろうと思う。[あとがきより抜粋]

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著者情報

館 直彦

1981年大阪大学医学部卒業。1983年大阪府立公衆衛生研究所。1995年東京慈恵会医科大学講師。2002年聖徳大学人文学部教授。現職多摩川病院院長,天理大学人間学部臨床人間学研究科教授。著訳書 境界例――パーソナリティの病理と治療(共編)精神分析的探究1―精神と身体(共訳)臨床家のための精神分析入門(監訳)現代対象関係論の展開,対象の影―対象関係論の最前線(監訳)ウィニコットを学ぶ―対話することと創造すること(以上 岩崎学術出版社)治療の行き詰まりと解釈(共訳)人間の本性(訳)ウィニコット用語辞典(監訳)(以上 誠信書房)

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