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脳から見える心

臨床心理に生かす脳科学

脳から見える心

脳の仕組みを知って他者の痛みを知るために

著者 岡野憲一郎
ジャンル 心理療法・カウンセリング
出版年月日 2013/07/19
ISBN 9784753310616
判型・ページ数 A5・216ページ
定価 本体2,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

目次●
第Ⅰ部 神経ネットワークが生む心という現象
第1章 ミラーニューロンから考える「共感とは何か?」
第2章 オキシトシンが問いかける「愛とは何か?」
第3章 マインド・タイム──意識と時間の不思議な関係
第4章 サイコパスは「異常な脳」の持ち主なのか?
第5章 ニューラルネットワークとしての脳
第6章 夢と脳科学
第7章 解離現象の不思議

第Ⅱ部 脳を知って病を知る
第8章 脳の配線異常としてのイップス病
第9章 DBS(脳深部刺激)への期待
第10章 右脳は無意識なのか?
第11章 愛着と脳科学
第12章 サヴァン症候群が示す脳の宇宙
第13章 小脳はどこに行った?

第Ⅲ部 快と不快の脳科学
第14章 報酬系という宿命 その1──何に向かい、何を回避するか
第15章 報酬系という宿命 その2──快の錬金術
第16章 報酬系と日常生活──相手を不快にさせないのが流儀
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岡野憲一郎(おかの けんいちろう)
1982年 東京大学医学部卒業,医学博士
1982~85年 東京大学精神科病棟および外来部門にて研修
1986年 パリ,ネッケル病院にフランス政府給費留学生として研修
1987年 渡米,1989~93年 オクラホマ大学精神科レジデント,メニンガー・クリニック精神科レジデント
1994年 ショウニー郡精神衛生センター医長(トピーカ),カンザスシティー精神分析協会員
2004年 4月に帰国,現職 国際医療福祉大学教授
米国精神科専門認定医,国際精神分析協会,米国及び日本精神分析協会正会員,臨床心理士
著訳書 恥と自己愛の精神分析,新しい精神分析理論,中立性と現実─新しい精神分析理論2,解離性障害,脳科学と心の臨床,治療的柔構造,新・外傷性精神障害,続・解離性障害,関係精神分析入門(共著),解離の病理(共著)(以上岩崎学術出版社),自然流精神療法のすすめ(星和書店),気弱な精神科医のアメリカ奮闘記(紀伊國屋書店),心理療法/カウンセリング 30の心得(みすず書房)

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内容説明

イップス病について脳科学的に知ることで、臨床家としてそのような訴えを持つ人への接し方が変わってくるのだろうか? 少なくとも私は変わった。というよりイップス病に限らず、あらゆる精神科的な疾患について同様のことが言える。脳科学的な根拠を知ることは、それらが「本当の病気」(当たり前の話だが)であり、来談者たちはそれに苦しんでいる犠牲者であるという理解を促す。するとその来談者の訴えに、より素直に耳を貸すことができるようになったのである。  イップス病を知らないとしたら、私たちは「緊張すると手が震えるんです」という来談者の訴えに、「練習を繰り返せば何とかなるでしょう」とか「がんばって経験を積めば、度胸がついて震えるなんていうことはなくなりますよ」あるいは「そんなこと私にだってありますよ」などと言いそうではないか?さらには「手が震えることで演奏できなくなり、コンサートに出ることを回避できるという意味があるのですね」というような解釈めいたうがった見方をしそうではないだろうか?  「慣れないから緊張し、手が震える→慣れればそんなことはなくなる」という「常識」は、おそらく軽い手の震えには通用する。大部分の震えの訴えに対しては、「そのうち慣れますよ」で済むのである。しかし深刻な震えにはそうではないものがある。練習すればするほど悪くなることがある。それがイップス病の恐ろしいところである。これは怪しいと思ったら、専門家への受診を促すことが肝要である。でもそのためには、とにかくイップス病という不思議な病気のことを知っておかなくてはならない。さもなければ、来談者の訴えを適切に扱えない。  私は一般的に言って「来談者の訴えに虚心坦懐に耳を貸しなさい」というよりは、「個々の病気を知りなさい」という教えのほうがより現実的であると考える。虚心坦懐には限度がある。人はみなバイアスを持ったまま、自分を虚心坦懐と思い込むことができるからだ。それよりも病気を知ることで、それが「気のせい」ではないことがわかる。それが来談者の苦しみを知ることでもある。  ただし個々の病気を知ることには、それだけ時間もエネルギーも必要となる。もっと言えば、来談者の訴えを本当に受け止められるようになるためには、個々の病気に自分がなってみる必要があるが、さすがにそれは無理だろう。  個々の病気を知るために、心理士は精神医学や脳の専門家になる必要はないが、「脳科学オタク」くらいにはなっておくことは必要だろうと私は思う。脳科学の専門書を紐解く必要はない。脳科学オタクに毛の生えたようなレベルの私が書くこの本程度でも結構役に立つものと自負している。【第8章より抜粋】

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