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事例で学ぶアセスメントとマネジメント

こころを考える臨床実践

目次

●目次  
 監修者まえがき(中村留貴子)
 はじめに
第1部 事例編
 1 心療内科クリニック内カウンセリングルームでのケース──事例発表者:20代半ば,臨床歴2年の女性臨床心理士
 2 スクールカウンセラーのケース──事例発表者:20代半ば,臨床歴3年の女性臨床心理士
 3 児童養護施設のケース──事例発表者:20代後半,臨床歴2年の男性臨床心理士
 4 精神科病院のケース──事例発表者:20代後半,入職2年目の男性臨床心理士
第2部 理論編
 1 心理臨床における精神分析的実践──治療0期の「耕し」と「治水」 (岩倉 拓)
 2 出会いの体験とそのアセスメント(湊真季子)
 3 精神分析的心理療法と治療構造論的理解(中村留貴子)
 精神分析とマネジメント──監修者として(藤山直樹)
おわりに

コラム─初心の臨床家に伝えたいこと,そしてお薦めの1冊
 1 所詮人のやること,されど訓練は嘘をつかない(狩野力八郎)
 2 まずどういうところに着眼するか(成田善弘)
 3 アセスメントを通じた「見立て」の意義(平井正三)
 4 毎回の心理療法面接はアセスメントでもある(松木邦裕)
 5 推理力を養うこと(乾 吉佑)
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藤山直樹(ふじやま なおき)
1978年 東京大学医学部卒業
その後,帝京大学医学部助手,東京大学保健センター講師, 日本女子大学人間社会学部教授を経て
現 在 上智大学総合人間科学部心理学科教授
東京神宮前にて個人開業。
国際精神分析学会(IPA)訓練精神分析家,日本精神分析協会運営委員
日本精神分析学会運営委員
専 攻 精神分析
 
中村留貴子(なかむら るきこ)
1972年 日本大学文理学部心理学科卒業
その後,山梨日下部病院,慶應義塾大学医学部精神神経科教室,千駄ヶ谷心理センター(SPC)を経て
現 在 東京国際大学人間社会学部教授
日本精神分析学会認定心理療法士スーパーバイザー
日本精神分析学会運営委員
専 攻 臨床心理学,精神分析学

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内容説明

【「おわりに」より抜粋】  この本で伝えたいことは,時代や社会の変遷に関係なく信頼される心理士であり続けるのに必要なことは何か,です。  1つは,一貫した志向性と考えを持つことです。なぜなら今も昔も人がこころの中で体験すること,こころの動きの本質的なありようは変わらないからです。事例編で示したように,この本の中で私たちは一貫して精神分析の理論に基盤を置いてさまざまな事象を考えていく姿勢を維持しています。2つ目は,そこから自分なりの応用性を身につけることです。本書では4つの職場を取り上げましたが,心理士の職域は多岐にわたります。そうした多様な臨床現場でいかにそれを応用していくのか考える実践の姿勢です。  ところで,精神分析には①治療法・面接法としての精神分析,②精神分析の実践によって紡ぎだされ蓄積された学問体系・理論,③それらの体系による人間理解の仕方とそれを活かした精神分析的臨床,この3つがあると言えます。先に述べた応用性というのは,この③にあたりますが,これらを訓練する場や記した書は思いの他少ないという現状がありました。  そこで私たちは,精神分析的臨床のためのトレーニンググループを立ち上げたのです。参加者の職場は多種多様で,かつ精神分析の考えに興味はあっても自身の日々の臨床にはなかなか結びつかないと感じている人たちが多いことを実感しました。実際,クライエントや職場から心理士に向けられるニーズの多くは,なるべく早く不安や心的痛み,やっかいな問題を取り除いてほしい,そのやり方を具体的に教えてほしいといったものでしょう。  おそらく読者の中にも,精神分析は旧態然とした時代にそぐわないもの,型にはまって応用性がない,即効性がない,だから現場で役立たないといったイメージを持っている方もいたでしょう。また,精神分析や精神分析的心理療法のように時間をかけ,安定した空間を提供し続ける関わりが可能となる場所や時間,機会がない職場で働いているひとも多いでしょう。本書は,そうした精神分析に対するイメージと臨床現場のギャップをつなぎ,トレーニンググループにおいて参加者に実感してもらえるよう目指したこと,つまり理論を基盤としながら同時に自らのこころを使って考えるという実践感覚を,より多くのひとたちに伝えたいとの思いから生まれました。  どのような職域においても,そこで生じた事象を自分なりに考えて理解すること,そして,見えなかった人間関係や人間のこころを可視化(アセスメント)し,見えるようになった問題をクライエント・家族・スタッフと共有し必要なことを取り扱っていくこと(マネジメント)は,心理士として日々働いていくうえで必要とされる機能や能力です。このプロセスにおいて,精神分析の体系は枯渇することのない泉のように何かしら考えや体験を促進してくれる奥行きと深さを湛えていると思います。これは,近年の心理臨床において潮流の1つである実証・効率主義的なエビデンスベースドの考え方や姿勢とは大きく異なるところです。私たちは,臨床家が向き合うのは単なる事象ではなく,パーソナルなこころだと考えているのです。  この本を読んで,日々の臨床に向き合う際の認識が変化し,精神分析的臨床を実践してみようという気持ちになって頂けたならば幸いです。そして多くの仕事がそうであるように臨床家も一生トレーニングが必要ですが,精神分析的臨床は個人心理療法によってその力が培われていきます。この本がきっかけとなって,さらに個人心理療法に関心を持たれることがあれば喜ばしく思います。

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