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カウンセリング実践の土台づくり

学び始めた人に伝えたい心得・勘どころ・工夫

目次

目次●
まえがき
第1部 実践の前に考えておくべきこと
第1章 カウンセラーとしての基本姿勢──心理臨床を学ぶ人へ
第2部 カウンセリングへの導入
第2章 カウンセリングの始め方
第3章 カウンセリングを始める時期の留意点
第3部 カウンセリングの継続と展開
第4章 傾聴を基盤にした関係づくり
第5章 体験内容への働きかけと支え
第6章 言葉による表現とノンバーバルな表出
第7章 内面への向き合い方の諸相と体験様式への働きかけ
第8章 カウンセリングの目標と進行過程
第9章 体験的距離の調整──学生相談の一事例からの示唆
第4部 カウンセラー自身の内面へのまなざし
第10章 カウンセラー自身の「感じ」の整理と活用
第11章 導き手としての暗在的「感じ」──ある物語の考察
第5部 実践にあたって念頭においてほしいこと
第12章 それぞれの臨床の場について考える──学生相談に関する考察から
補 論 カウンセリング実践に関する覚え書き──まとめに代えて
文 献
索 引
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吉良安之(きら やすゆき)
1955年 生まれ
1985年 九州大学大学院教育学研究科博士後期課程満期退学
現 在 九州大学基幹教育院教授,博士(教育心理学)
    九州大学キャンパスライフ・健康支援センター 学生相談室カウンセラー
資 格 臨床心理士,大学カウンセラー,Focusing Institute認定コーディネーター
主 著  『学生のための心理相談』(共著,2001,培風館),『主体感覚とその賦活化』(2002,九州大学出版会),『学生相談シンポジウム』(共著,2006,培風館),『フォーカシングの原点と臨床的展開』(共著,2009,岩崎学術出版社),『学生相談ハンドブック』(共著,2010,学苑社),『セラピスト・フォーカシング』(2010,岩崎学術出版社)

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内容説明

【まえがきより抜粋】本書は,カウンセリングの実習や実践を始めて間もない人から臨床経験10年くらいまでの人を対象にして,カウンセラーとしての土台づくりに役立ててもらいたいと考え,カウンセリングの心得や勘どころ,そして実践上の工夫などを論じたものである。
 本書に述べた内容の一部は,いくつかの大学で臨床心理学を学ぶ大学院生に向けて講義を行い,彼らとやりとりをしながら,刺激を受けて考えてきたことが基になっている。以下に簡単に,本書の内容を紹介しよう。
 第1部では,カウンセラーとしての基本姿勢と考えられることを述べている。カウンセリングの専門職者になっていくうえでの学び方やその道筋,自分自身の心理的課題とのつきあい方,責任を負うことの捉え方,守秘を身につけることの意味,そしてカウンセリングにおける援助・被援助の相互性などについて論じている。
 第2部では,カウンセリングの導入期において行うべきことと,その実践上の留意点について述べている。導入期は,クライエントとカウンセラーがお互いに相手を確かめながら,カウンセリングを始めるかどうか,それをどのような場にしていくのかを考えていく時期である。第2章では,カウンセラーがクライエントの主訴を聞きつつ,そこからさまざまなことを読みとり,それをもとにアセスメントを行う作業について論じる。特に,主訴を聞くことでクライエントに生じる複雑な動きを感じとることが,その後のカウンセリングの作業の出発点になることを論じている。そして第3章では,さまざまな角度から導入期における実践上の留意点を論じている。
 第3部では,カウンセリングの継続と展開のなかで生じることや,それぞれの局面で留意しておくべき事項について述べている。第4章では傾聴を基盤にして行われる関係づくりについて,第5章ではクライエントの語る体験内容へのアプローチとしての働きかけと支えについて,第6章では言葉による表現と対比しながらクライエント・カウンセラー双方のノンバーバルな表出の捉え方とその臨床上の意義について論じている。第7章では筆者が長年経験してきたフォーカシングの考え方をもとに,クライエントの内面への向き合い方の諸相を示すとともに,体験様式に働きかけることの重要性を論じ,第8章では体験様式の観点にもとづいて,カウンセリングが目標とすべき方向性と,そこに至る進行過程を示している。そして第9章では学生相談の一事例を素材にして,体験的距離を調整することによって生じる変化の様相や,そのための工夫について検討している。
 第4部では,面接のなかでカウンセラーに生じる「感じ」の重要性と,カウンセリングを進めるうえでのその活かし方について述べている。第10章では追体験の姿勢でクライエントに関わるなかで生じるカウンセラーの感じを4つに分けて論じるとともに,筆者が開発したセラピスト・フォーカシングを紹介している。第11章ではある物語を素材にして,それをさらに深めて論じている。
 第5部では,カウンセリングを実践するうえでカウンセラーが念頭に置くべきことを述べている。第12章では筆者の職場である学生相談について紹介しながら,各自がそれぞれの臨床の場で工夫すべきことを論じている。そして補章では,カウンセリング実践上の留意事項を論じている。
 本書で紹介しているいくつかの事例は,筆者の臨床フィールドである学生相談のものである。また,筆者のカウンセリングについての考え方の背景には,フォーカシングの視点が存在している。これらのことは本書での論述に特徴を与えているが,しかし本書ではできるだけ筆者個人の立ち位置に留まらず,カウンセリングを学び始めた人たちに共通して身につけてもらいたいこと,念頭に置いてもらいたいことを論じたつもりである。カウンセリングを実践する専門職者になっていくための「土台」に相当する部分を丁寧に,かつしっかりと固めていくことが,後になってぶれない,臨床家としての基盤になると考えるからである。

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