ホーム > 子どもの精神療法

子どもの精神療法

臨床における自由さを求めて

子どもの精神療法

子ども臨床において最も大切な「自由さ」とは何か

著者 川畑 友二
ジャンル 発達・思春期・老年
自閉症・発達障害
出版年月日 2015/02/27
ISBN 9784753310883
判型・ページ数 A5・208ページ
定価 本体2,500円+税
在庫 在庫あり
 

目次

序 章
第Ⅰ部 治療者の抱く不安と不自由さ
 第1章…子どもの心理臨床
 第2章…子どもの精神療法
 第3章…子どもの見立て
 第4章…精神療法における共感について
第Ⅱ部 臨床における工夫と自由さ
 第5章…クリニックでの親子臨床
 第6章…家族-遊戯療法
 第7章…子どもと家族への臨床的対応
第Ⅲ部 自由さを求めて
 第8章…臨床における自由さとは
 第9章…治療者の感性と自由さ
-------------------------
川畑友二(かわばた ゆうじ)
1957年 鹿児島市生まれ。
1983年 長崎大学医学部を卒業後,2年間健友会上戸町病院にて内科研修。
1985年 長崎大学精神科に入局。
1989年 公立学校共済組合関東中央病院精神科勤務。
1999年 クリニック川畑を開院,現在に至る。
著 書 『不登校の理解―事例から学ぶ(改訂)』(安田生命社会事業団,1995年)
『治療者としてのあり方をめぐって―土居健郎・小倉清対談集』(共著,チーム  医療,1995年)
『学級崩壊』(共著,安田生命社会事業団,2002年)
『ライフサイクルの心理療法』(共著,創元社,2004年)
『子どもの心の診療シリーズ8 子どもの精神病性障害』(共著,中山書店,  2009年)
『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(共著,中山書  店,2010年)
『甘えとアタッチメント』(共著,遠見書房,2012年)ほか。

このページのトップへ

内容説明

子どもの精神療法について,基本的な姿勢を臨床家としての視点から綴ってみたいと最近つとに思うようになっていた。それは子どもの臨床において「精神療法・心理療法」はかなり重要なものであるにもかかわらず,昨今の子ども関連の学会においては,ほとんど取り上げられていない現状を憂えてのことであった。患者とまみえるすべての臨床場面で,それは何も精神科医療に限らずすべての診療科やカウンセリングと呼ばれる場面でということになるが,「精神療法・心理療法的診察」の心得は欠くことのできないものであり,実際その臨床場面で困っている臨床家は多いのではないかと思う。(中略)
臨床を長年経験してきた方は想像つくと思うが,教科書をいくら勉強しても,あるいは理論研究を懸命にやってきたからといって,目の前の患者をうまく治せるとは限らない。また,長く臨床をやってきたベテランはすべからく治療がうまいとも限らない。では心理臨床がうまいかどうかの秘訣はどこに存在するのであろうか。治療のうまい,下手は一つの基準で測れるような絶対的なものではないのだろうが,最終的には,「その人なりの治療技法」を身につけた人については,その守備範囲は問わないまでも,治療に関して安心できるという感覚を周りは覚えるものである。治療技法というほどのものでないとしても,その治療者の人柄の味をもとにした治療をしている人は多いと思うし,それなりの成果を上げていると思う。その「その人なりの治療技法」とは,教科書などに載っている定式化された面接法ではなく,結局のところその治療者自身の個性が持つ「自由さ」からくる変法のことであろう。そこに精神療法の妙がある。つまり,精神療法を志す者にとって,究極の目標は「自由になる」ことと言っても差し支えないのである。(中略)
今回,この「自由さ」を言葉で表現するということがいかに難しいことかと痛感することになった。自由さは「自然さ」にも通じるものであり,本来故意的なものや規範に反するものである。これが自由ですと文章として形にすることはかなり難しい。とくに治療者云々の人間のありようや行動を表現するとなると,これが「治療者の自由さ」だと定義づけることは不可能である。十人いれば十通りの捉え方がなされ,そしてそれらすべてが存在するのであろう。つまり,「治療者の自由さ」というものを表現するには,不自由さを指摘することから始めるしかできない。さまざまな治療理論や技法も,治療における「不自由さ」を感じた治療者がその場面を乗り越えるために苦しみながらも編み出した工夫といえる。つまり,治療における「不自由さ」からいかに自由になればいいかを表現したものが理論なのである。そして,自由さを表現することに困難を感じたもう一つの理由は,書き進めていくうちに筆者の人となりが漏れ出ていくように感じ,強い不安に駆られたことである。自由さを考察するとなると,私なりの自由さを述べねばならず,否が応にもそこには個人的な思いが出てくる。しかし,自分をさらけ出すという不安とは面接の中でいつも戦っていることではないかと,自らを奮い立たせながら筆を進めることになったのである。
ここで言う「自由さ」とは単に不自由さを否認するためのものではなく,その不自由さを自覚するところから出発する旅立ちのようなものである。人はさまざまな意味において真の自由には到達しえず,不安におののく存在なのであろう。しかし,自由を目指すことは精神療法を志す者にとってとても重要なことと思われる。それをいくらかでも読者の方に伝えることができたらと願う。(序章より抜粋)

 

このページのトップへ

著者情報

川畑 友二

川畑友二(かわばた ゆうじ) 1957年 鹿児島市生まれ。 1983年 長崎大学医学部を卒業後,2年間健友会上戸町病院にて内科研修。 1985年 長崎大学精神科に入局。 1989年 公立学校共済組合関東中央病院精神科勤務。 1999年 クリニック川畑を開院,現在に至る。 著 書 『不登校の理解―事例から学ぶ(改訂)』(安田生命社会事業団,1995年) 『治療者としてのあり方をめぐって―土居健郎・小倉清対談集』(共著,チーム  医療,1995年) 『学級崩壊』(共著,安田生命社会事業団,2002年) 『ライフサイクルの心理療法』(共著,創元社,2004年) 『子どもの心の診療シリーズ8 子どもの精神病性障害』(共著,中山書店,  2009年) 『子どもの心の診療シリーズ4 子どもの不安障害と抑うつ』(共著,中山書  店,2010年) 『甘えとアタッチメント』(共著,遠見書房,2012年)ほか。

このページのトップへ