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子どもの臨床

小倉清著作集・1

子どもの臨床

待望の児童精神科臨床論文集

著者 小倉清
ジャンル 精神分析
発達・思春期・老年
出版年月日 2006/07/29
ISBN 9784753306060
判型・ページ数 A5・264ページ
定価 本体4,500円+税
在庫 品切れ・重版未定
 

目次

目 次● 
序部
 今を生きる子どもたち 
第Ⅰ部
 子どもの精神医学的診断法
 プレイ・セラピィの基本的な考え方
 子ども・思春期の精神療法の副作用
 児童・思春期の精神保健と精神分析療法
 治療者患者関係 
コラム
 ①乳房ケア専門の助産師―赤ちゃんの時の思い出
 ②生きることへの疑問をもつ小学二年生
 ③幼児虐待―そしてその後 
第Ⅱ部
 発達課題と傷つきやすさ
 子どもの神経症
 親子関係の病理
 児童精神医学における親の問題
 子どものケースからみた夫婦
 摂食障害と乳幼児期の問題
 11歳,「親なし子」の放浪の旅
 虐待体験を訴える人の心理
 統合失調症治療の標的と指標
 統合失調症の成り立ちについての一考察

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内容説明

序部より● 私が述べたいと思ったことの一つは,そもそも赤ちゃんの世界は一般に考えられているかもしれないよりは,よほど複雑で大変なストレスに満ちたものであるということです。さまざまの状況が次つぎと一方的に展開されてゆくものですから,赤ちゃんは例外なく圧倒的な体験を余儀なくされ,そのために心に傷を数限りなく受けてゆくしかないものと考えられます。実際,私の考えでは人生において,赤ちゃんの時くらいに傷つきやすく,ほとんど一方的な体験を押しつけられる時は,その他の時期にはみられないものと思います。虐待はそのもっとも極端な例で,それで亡くなる赤ちゃんもいるくらいですが,そこまででなくても,日常生活の中で,赤ちゃんにとっては相当なことが起こっているものと思われます。それは偶然の出来事のつみ重ねにすぎないのかもしれませんが,そうであったとしても,人生は一方向通行なのですから,ただもう進んでゆくしか手がないわけです。  とはいえ,さまざまの傷があるからこそ,私たちは今日の私たちであるわけですし,生まれてから死ぬまで,原初の傷への手当,対応への努力を日々重ねるしかないわけです。実際,その努力というものが私たちの人生そのものになっているのだというのが私の考えです。  一般の臨床で,初回面接の中にはその後に続く治療の中に現われるすべての事柄の芽が,すでに含まれているものと私は常日頃考えておりますが,それと同じく,赤ちゃんの姿の中にはその人のその後の人生で起こるであろうことの芽がすべて秘められているように私には思えてなりません。この意味からしても,私たちは赤ちゃんをよく尊重し,しっかり見つめる必要があります。またそれを通して,赤ちゃんの時の避けようもない傷が,今日の自分にとってどんな意味をもっているものなのかも分かってくるはずだと思うのです。そうやって自分をよりよく生かしてゆきたいものだと思っている次第です。 小倉 清

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