ホーム > レジリエンス

目次

序 章 レジリエンスとは何か?
第一章 楽観主義であること――現実を見つめ、明るい未来を信じる
第二章 恐怖と向き合う――その生物学的背景と対処法、活用法
第三章 道徳指針をもつ――正義を実践する
第四章 信仰とスピリチュアリティ――罪悪感、赦し、回復
第五章 社会的サポートを求める――相互に依存すること
第六章 ロールモデルを手本に行動する
第七章 トレーニング――健康を保ち身体を鍛える
第八章 脳の健康増進――知力と感情調整力を鍛える
第九章 認知と感情を柔軟にする
第十章 意味、目的を知る――人生の出来事を成長につなげる
終 章 レジリエンスの実践
-------------------------------
【訳者紹介】
森下 愛(もりした・あい)
精神科医
佐賀医科大学医学部(現佐賀大学医学部)卒業、国立精神神経センター病院、熊本大学医学部付属病院神経精神科、熊本県立こころの医療センター、大阪市立大学医学部付属病院神経精神科勤務を経て、現在マウントサイナイ医科大学にて臨床研究に従事。

【監訳者紹介】
西 大輔(にし・だいすけ)
医学博士、精神科医、産業医
九州大学医学部卒業。国立病院機構災害医療センター精神科科長などを経て、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所室長。うつ病や外傷後ストレス障害などの予防をテーマに多数の学術論文を発表。
主要著書に『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス、2012)、『今日の精神疾患治療指針』(医学書院、2012、分担執筆)、『PTSDの伝え方―トラウマ臨床と心理教育』(誠信書房、2012、分担執筆)、『抑うつの鑑別を究める』(医学書院、2014、分担執筆)、『職場のポジティブメンタルヘルス』(誠信書房、2015、分担執筆)など。
森下博文(もりした・ひろふみ)
マウントサイナイ医科大学助教授、医学博士
九州大学医学部 卒業、国立精神神経センター病院 精神科勤務後、大阪大学大学院医学系研究科、理化学研究所脳科学総合研究センター研究員、米国ハーバード大学医学部研究員を経て、現在ニューヨークのマウントサイナイ医科大学にて脳の発達と可塑性の基礎研究に従事。米科学誌『Science』などに多数の学術論文を発表

このページのトップへ

内容説明

本書の特徴は、トラウマを乗り越えたサバイバーたちの語りを大切にしたうえで、それを裏打ちする疫学的・生物学的な研究成果を十分に紹介していることです。両方のバランスがよくとれているため、専門家・研究者にも読みごたえのある内容であるとともに、一般の読者の方々にも関心をもっていただける内容になっていると思います。
私は監訳のために本書を何度も読み返しましたが、そのたびに新しい気づきや学びがあり、私自身が励まされました。本書には、ベトナム戦争の退役軍人、特殊部隊の教官、重い身体障害や深刻なトラウマを経験した人たちの語りがたくさん紹介されています。私たちの多くは、本書に登場する人たちほどの厳しい経験をすることはないかもしれません。しかし、本書から得られた教訓をいかす機会は、私たちの人生にもあふれています。たとえば自分自身の内面をしっかり見つめることは、時に「恐怖と向き合う(第二章)」ことになります。「ロールモデル(第六章)」は私たちの生活の中で見つけられる場合が少なくありませんし、「道徳的指針・利他的行為(第三章)」については毎日の通勤・通学のような場面でも試されます。ストレスを感じる出来事にさらされた時には「社会的サポート(第五章)」を求めたり「認知と感情の柔軟性(第九章)」を活用したりする機会かもしれませんし、立ち直るのが難しいほどの出来事を経験した時は、人生の「意味(第十章)」について、あるいは「スピリチュアリテイ(第四章)」について知り、日々の生活の中でそれを深めていくきっかけになるかもしれません。そして、そうやって逆境を何とか乗り越え、あるいは逆境と共存する過程で、自分が意識的には望んでいない結果が起きる可能性を受け入れることも含めた「現実的な楽観主義(第一章)」にもたどり着けるのかもしれません。それは、大いなる存在に自分を委ねるという境地に近いのかもしれないと個人的には思います。

著者が本書の中で何度も繰り返しているように、本書は理解するだけでなく、その内容を実践することが非常に重要なのだと思います。もちろん、いきなりすべての実践を始めることは難しいですし、それを自分の身につけるまでには練習を繰り返す必要があります。ただ、本書で紹介されたレジリエンスの要因はお互いにつながっていて、一つの要因を高めることができれば他の要因にもその影響が波及します。ですから、本書の中から自分がやりやすいところ、自分に合うと感じたところを拾い上げて、なにか一つでも実践を始めることができれば、素晴らしいと思います。
私は、本書のラストシーンがとても気に入っています。人より強いこと、人より速いことが大切なのではなく、一人ひとりに自分自身のゴールがあるということ、そしてゴールすること以上に、自分の足で走るその過程が大切であるということ。わかっているつもりでも、日々の中で忘れてしまいがちになることを鮮やかに思い出させてくれる、本書の最後としてとてもふさわしいメッセージだと思います。
本書が、読者の方々にとって少し背中を押してくれるような存在になることを、そして読者の方々のレジリエンス向上とより良い人生の一助となることを、心より願っています。(監訳者あとがきより抜粋)

このページのトップへ