ホーム > 「社会による子育て」実践ハンドブック

「社会による子育て」実践ハンドブック

教育・福祉・地域で支える子どもの育ち

目次

1 「社会で子どもを育てる」ために
 1-1 子どもの人権
 1-2 「社会で子どもを育てる」こと
2 子どもを理解し支援するための基礎的視点
 2-1 子どもの成長の基本
 2-2 行動理論
 2-3 アタッチメント
 2-4 トラウマ
 2-5 発達障害
 2-6 性教育
 2-7 解 離
3 子ども支援の実践
 3-1 子どもの育つ環境
 3-2 アタッチメントに向けた支援
 3-3 グループアプローチ
 3-4 学校における支援
 3-5 性に関する援助
 3-6 子育てに問題を抱える親の理解と援助
 3-7 地域における予防:乳幼児と親のための支援
4 危機介入・危機対応
 4-1 児童虐待
 4-2 ドメスティック・バイオレンス
 4-3 災害・事故など突然の危機
5 援助者・援助チームのあり方
 5-1 子どもへの接し方の練習
 5-2 援助者のメンタルヘルス:二次的外傷性ストレス
 5-3 ケース会議・スーパービジョン・コンサルテーション
 5-4 チーム援助:学校教育と児童福祉の連携
----------------------------------

森 茂起(もり しげゆき)
1984年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程退学。1998年博士(教育学)。臨床心理士。甲南大学文学部専任講師,助教授を経て,1997年より同学部教授。
主要著書:『トラウマの発見』(講談社,2005年),『〈戦争の子ども〉を考える』(平凡社,2012年,編著),『自伝的記憶と心理療法』(平凡社,2013年,編著),『ナラティヴ・エクスポージャー・セラピー』(金剛出版,2010年,共訳),『死別体験―研究と介入の最前線』(誠信書房,2014年,共訳),他。

このページのトップへ

内容説明

このハンドブックは,子どもの成長を支援する専門職の方々のために作られた。ただし,支援者と子どもの一対一の関係の中で相談や治療を行うのではなく,集団として子どもと関わる専門職の方々を想定している。具体的には,学校,幼稚園,保育所,児童養護施設,情緒障害児短期治療施設,あるいはそれらを支援する教育委員会,児童相談所などで働く方々である。さらには,学童保育,地域の児童館,子どもの集団活動を企画運営する地域のサークル,NPO団体などで活動する方々の参考にもなるだろう。
社会には,「子どもを育てて大人として社会に送り出す(=受け入れる)」という役割とそのための機能がある。その機能を果たすために,さまざまの専門職があり,協働してその役割を担っていると考えられる。冒頭に数え上げたさまざまの職場や活動領域は,教育,福祉,地域活動など,それぞれ活動する専門領域が異なっている。職業名で言えば,教師,保育士,施設職員,福祉士,公務員など,異なった名称が与えられる。しかし,「社会で子どもを育てる」という大きな営みの一部を担っているという点では,同じ専門業務に携わっているといえる。そうした方々の共通の課題を扱ったハンドブックを目指して本書は書かれている。
実際,現在子どもたちと関わっている方々が直面している課題は,どの現場であっても共通する部分が多い。共通する課題の背景を,必要な環境の不足という面と,阻害的環境の増加という2つの視点から捉えてみよう。
第1に,必要な環境の不足の側面である。子どもが健康に育つためには,物理的環境から人的(社会的)環境まで幅広い要素からなる環境が必要である。その必要な環境が乏しくなっているように思われる。特に人間関係の資源が乏しくなっている。子どもが社会の中で育つのは当然であって,いつの時代も,近隣の人間関係など,多くの人間関係の中で子どもは育ってきたはずである。しかし,地域社会の力が低下し,家庭が閉鎖的になる中で,子どもの成長を促進する環境が貧しくなってしまった。
第2に,子どもの育ちを阻害するものが多くなっていることである。家庭内の虐待やネグレクトから家庭外の暴力やいじめ,あるいは犯罪,事故,災害といった突発的事件まで,子どもの健やかな成長を阻害する要因が多発し,その防止対策,回復対策が必要になっている。これらもまた,かつてから存在したものともいえるが,その規模が大きくなり,組織的対策を必要とするようになった面と,また研究や実践の進展によって,それらの問題の深刻さが明らかになってきたという面がある。
この2つの傾向は,子どもを取り巻くあらゆる環境に広がっているので,子どもの集団に接する場であれば,どこでも同じ問題に直面する。子どもを取り巻く問題が深刻化しているという共通認識が,私たちがこのハンドブックを制作しようと思い立った動機である。
ただし,私たちが直面する課題や危機のみが私たちを本書の企画に駆り立てたのではない。このハンドブックの内容をまとめることができたのは,子どもの問題を理解し,支援するための学問が急速に発展して,多くの問題を共通した視点から捉え,理解を共有することが可能になったからである。
具体的に言うと,子どもの成長を促進するアタッチメントの作用,阻害するトラウマの作用,生得的な素因に関係する発達障害などの研究は,この20年ほどで急速に発展した。またそれらの研究に基づいて,成長の促進や回復などのための実践方法も発展してきた。また,子どもの成長を考える中で,「子どもの人権」という視点が共有され,人権擁護の観点からの支援方法も工夫されてきた。本書は,こうした研究や実践の蓄積をふまえて,日常的に子どもと関わる中で留意すべき点,実践計画を立てる際に取り入れてほしい視点を,核心に絞って,できるだけわかりやすくまとめている。本ガイドブックの示す有効な支援の指針に基づきながら,読者が各実践現場にあわせた支援の方法を築かれることを願っている。
(まえがきより抜粋)

このページのトップへ

関連書籍

子どもの精神医学入門セミナー

子どもの精神医学入門セミナー

急増する児童思春期患者への格好の入門書

著者:傳田 健三 編著
氏家武 編著
齋藤 卓弥 編著
 
 
乳幼児虐待のアセスメントと支援

乳幼児虐待のアセスメントと支援

発達に多大な影響を及ぼす乳幼児期を守る

著者:青木豊 編著
 
 

このページのトップへ