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ロールシャッハテストの所見の書き方  新刊

臨床の要請にこたえるために

目次

序 文  馬場 禮子
第1部 レクチャー──臨床で使える報告書をまとめるために  加藤志ほ子
 1 はじめに
 2 文献に学ぶ
 3 臨床の要請を理解すること
 4 読み取りの枠組みについて
 5 総合的理解
 6 どのように心理検査結果をまとめるか
 7 心理検査結果の伝え方
 8 精神科医からの要望
第2部 ケーススタディ  吉村  聡
 1 事例概要:CaseF
 2 ロールシャッハテストの結果と解釈
 3 加藤志ほ子による所見
 4 吉村聡による所見
 5  フィードバックと,その後の心理療法についての覚書
 ▪コラム〔1 統制力指標としてのDスコアとEA/2 TextureとFd反応/3 反応領域と情報処理過程/4 解釈結果をまとめるために(記号解釈編)/5 継起分析の視点/6 包括システムと力動的解釈/7 解釈結果をまとめるために(総合解釈編)/8 所見をまとめるという作業について/9 心理検査結果の患者に向けたフィードバック〕
第3部 ディスカッション  加藤志ほ子×吉村聡×池島静佳×北村麻紀子×牧野有可里×松田東子×満山かおる
 加藤先生は所見をどう書いているのか?/所見をまとめる上での工夫/検査態度のまとめ方/その人の資質に目を向けて言葉にする/専門用語をどこまで使うか/本人用の所見とフィードバック/精神科医の要望に応える/所見にデータを載せる意義/いい所見とは?/どんなふうに考えて書いているの?/所見がまとまらない場合は?/先輩の所見から学ぶ/他業種の人の感想から学ぶ/検査をとってから所見を書くまでに時間をおく/所見を書くのに何時間くらいかかる?/熟練までの過程・勉強の仕方/人の目に晒す/ロールシャッハの背景にある精神分析理論/研修会に参加する/スーパービジョンを引き受ける/文献から学ぶ/ロールシャッハを学ぶ過程/三十にして腹をくくる/フィードバックセッションから学ぶ/クラスターを解体して,自分のクラスターを作る/ローデータとの対話/まとめのメッセージ
文 献
あとがき
おわりに
索 引
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加藤志ほ子(かとう しほこ)
1944年 東京に生まれる
1966年 日本女子大学家政学部児童学科卒業
1966年 慶応義塾大学医学部精神神経科入局
1978年 東京都済生会中央病院精神神経科
1985年 北山医院(現・北山研究所/南青山心理相談室)
2011年 帝京大学文学部教授
現 職 南青山心理相談室(臨床心理士)

吉村 聡(よしむら さとし)
1973年 大阪に生まれる
2001年 早稲田大学文学研究科博士後期課程単位取得退学
2003年 博士(文学)
2000年 早稲田大学理工学部複合領域コース助手
2002年 東北大学教育学研究科講師
2006年 上智大学総合人間科学部講師
現 職 上智大学総合人間科学部准教授,南青山心理相談室(臨床心理士)

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内容説明

【序文より抜粋】
 この度,加藤志ほ子さんの指導する心理アセスメント研修グループが,長年の研鑽の成果を踏まえて,『ロールシャッハテストの所見の書き方──臨床の要請にこたえるために』を刊行されることになった。まことに喜ばしいことである。その労作について所感を書く役割を与えて頂いたので,ささやかな感想を述べさせて頂きたい。
 標題からも推察される通り,本書は心理アセスメントの,それも主として心理検査の,その中でも特に投映法検査の,さらにその中でもロールシャッハテストを中心にした,臨床心理アセスメントの所見の書き方,というところに主眼を置いて書かれたものである。ここまででも,本書が相当に特殊分野に入り込んだ,専門的なものだということが分る。しかし,少数専門家向けのようでありながら,本書の内容は,我々臨床心理士に取ってはなくてはならない仕事に関するものなのであり,心理臨床家であれば誰にでも課せられる,誰でもできなければならない仕事である。
 そのような仕事に関わることなので,心理検査所見の書き方や使い方に関する参考書は,これまでにかなりの数が刊行されていると思われる。それにも関わらず,本書のような内容の本は,はっきり言ってこれまでになかったのではないだろうか。施行した心理検査から理解されたことを,どのように関係者に伝達するかは,非常に重要な課題であるのに,この件について解説するのは難しい。特に本書のようにロールシャッハテストの質的分析を中心に置くようなアセスメントでは,結果の個人差が大きく,報告書の記述をはじめ,検査結果をどう理解しどう活かすかについて一般論を語るのは非常に難しいので,とかく事例集のような形になりがちである。また,役に立つ所見を書けるまでに投映法の分析能力を身につけるのが大仕事なので,投映法の参考書はその技法習得についての記載で一杯になり,所見の書き方までは手が回らないということになりがちということもあり,とかく所見の報告書をどう書くかというテーマは省略されているように思われる。
 ところが本書では,一方でロールシャッハ反応の読み方を懇切丁寧に解説して,読み取り技法の指導書を目指しながら,一方で解釈を基にした所見の纏め方,報告書の書き方に多くの紙面を割き,これが本書の主題であることを強調するという,まことに欲張った企画になっている。一事例の所見について論じながら,そこへ所見の書き方一般についてのコラムを挿入するという欲張り方である。このような書き方をするには,さぞ労力と時間を要したことであろう。
 最後に置かれた座談会(ディスカッション)も興味深い。所見の書き方や口頭での伝え方について,心理検査の報告をする際,大抵の人が迷うような課題が網羅され,また課題への対処法についても沢山の知恵が提供されている。気楽な仲間達の座談会だからこそ本音で語られているので,その結果,特に初心者には非常に役に立つ情報が提供されたのであろう。
 実をいうと,本書の執筆メンバーは,加藤さんや私の研修会で,力動的な投映法解釈について学んだ,今も学んでいる人たちである。みんな優れた勉強家で,長く研鑽を重ねて来ている。そういう人たちがこのような本を刊行して下さったことは,私にとって何より嬉しいことである。
 本書が後続する多くの臨床心理専門家の役に立つことを,心から願っている。
馬場 禮子

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