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ケースに学ぶ音楽療法II

目次

はじめに

第1章 スイミーが海に帰るまで―分析的音楽療法を受けたある大学生の事例
第2章 人格再構築までの道程:部分と全体―被虐待経験をもつ20代女性への分析的音楽療法
第3章 「私を見て!私を私としてあるがままに認めてほしい」―境界性人格障害と音楽療法
第4章 うつ病(大うつ病性障害)に対する即興個人音楽療法の治療意義
第5章 音声・精神療法による「失われた身体像」の回復―自験例との25年間を批判的に振り返って
第6章 音楽療法は統合失調症のどこに,どのように,なぜ効くのか―精神病理学と音楽心理学をふまえて考える
第7章 音楽による「喜び」と統合失調症―解体型事例の語りとピアノ表現から
第8章 病と歌とともに歩んだ道
特別寄稿 生きている事と音・楽

解題

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内容説明

音楽療法士の養成教育のなかで,個別の臨床実践を報告したケース・スタディから学ぶ意義はきわめて大きい。具体的な事実の記録が多様な治療理論や方法の修得・理解に資することはもちろんだが,何より困難を抱えたクライエントの生々しい声や,それに対するセラピストのさまざまな試行錯誤がリアルに伝わってくる。複雑な治療プロセスや,実際に奏でられ歌われた音楽のあり方,セラピストの考え方・感じ方,治療の帰趨から得られる貴重な発見や洞察など,実に多くの情報がケース記述には含まれているのである。本書はわが国初の本格的な「音楽療法ケース集」として構想された。執筆陣のなかには欧米に留学経験がある方も多く,今なお海外在住の方も含まれるが,すべて日本人の音楽療法士あるいは研究者である。自験ケースの紹介者として現在望みうる最高の布陣になったのではないかと自負している。紙数の都合もあり17ケースに留めざるを得なかったが,それでも幅広い年代のさまざまな障害や疾病をもつクライエントに対し実に多様な理論・方法のセラピーが行われている。また,私の見るところ,それぞれの著者が自らにとって最重要のケースを寄せてくださったようで,各著者が熟練したセラピストであることを考えれば,本書は現時点における日本音楽療法の到達ポイントを示す内容にもなっていると思う。異なる専門領域で仕事をする読者の便を図り,I巻を児童・高齢者・緩和ケア領域,II巻を成人の精神科領域とした。もちろんI・II巻を通読していただきたいが,まずは関係した領域を含む1冊を手に取っていただいてもいい。ご自分の関心や興味と照らし合わせながら,各章のケース記述に含まれる豊富な意義を汲んでいただきたいと願うものである。(「はじめに」により)

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著者情報

阪上 正巳 編著

1958年埼玉県生まれ。1983年金沢大学医学部卒業,国立武蔵療養所研修医。1985年自治医科大学精神医学教室入局。1989年ウィーン大学医学部精神医学教室に留学,同時にウィーン国立音楽大学音楽療法科聴講生として学ぶ(~1990年)。1999年国立精神・神経センター武蔵病院医長。2001年国立音楽大学助教授を経て現在 国立音楽大学教授,医学博士,精神保健指定医,日本精神神経学会・精神科専門医。著訳書 『精神の病いと音楽―スキゾフレニア・生命・自然』(単著,廣済堂出版,2003),『音楽療法―芸術療法実践講座 4』(共編,岩崎学術出版社,2004),『音楽療法事典[新訂版]』(ハンス=ヘルムート・デッカー=フォイクト他,共訳,人間と歴史社,2004),『文化中心音楽療法』(ブリュンユルフ・スティーゲ著,監訳,音楽之友社,2008),『音楽療法と精神医学』(単著,人間と歴史社,2015)他。

岡崎 香奈 編著

1966年福岡県生まれ。1988年英国王立音楽院ピアノ科卒業。1989年ノードフ・ロビンズ音楽療法センターにて音楽療法士ディプロマ取得。1995年ニューヨーク大学大学院音楽療法学科修士課程修了。2011年ニューヨーク大学大学院博士課程修了,洗足学園音楽大学准教授を経て,現在 神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授,芸術学博士,英国・米国公認音楽療法士,日本音楽療法学会認定音楽療法士,ノードフ・ロビンズ音楽療法士レベルIII取得者,世界音楽療法連盟資格認定委員。著訳書 『音楽療法のための即興演奏ハンドブック』(共著,音楽之友社,1996),『障害児教育におけるグループ音楽療法』(ポール・ノードフ&クライブ・ロビンズ著,共訳,人間と歴史社,1998),『音楽療法ケーススタディ〈上〉』(ケネス・E・ブルシア編著,共訳,音楽之友社,2004),『文化中心音楽療法』(ブリュンユルフ・スティーゲ著,共訳,音楽之友社,2008)。

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