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乳幼児精神保健の基礎と実践  新刊

アセスメントと支援のためのガイドブック

目次

序章 乳幼児精神保健の展望

【セクションⅠ】総論:乳幼児精神保健の基礎

第1章 乳幼児期の精神保健の意義―精神科の第一次予防
●第1部 乳幼児期の発達の諸側面
第2章 胎児と乳幼児の神経学的発達 第3章 乳幼児の社会・情動的発達 第4章 周産期の心理と精神病理
●第2部 発達に影響を及ぼす危険因子と保護因子
第5章 貧 困
第6章 うつ病の母親
第7章 低出生体重児―周産期医療の観点から
第8章 虐待とネグレクト
●第3部  支援の基礎となるアセスメント
第9章 乳幼児の行動についての質問紙
第10章 発達検査
第11章 乳幼児-養育者の関係性の評価
第12章 乳幼児期の診断

【セクションⅡ】各論:乳幼児の精神病理・病態・治療

●第4部 乳幼児の精神病理とさまざまな病態
第13章 自閉スペクトラム症
第14章 注意欠如・多動症
第15章 知的発達症(知的能力障害)
第16章 コミュニケーション症
第17章 アタッチメントの障害
第18章 PTSD(心的外傷後ストレス障害)
第19章 行動と感情の問題
第20章 睡眠障害
第21章 摂食障害・体重増加不良・肥満
●第5部 乳幼児のこころの治療と支援
第22章 サークル・オブ・セキュリティ・プログラムと「安心感の輪」子育てプログラム
第23章 乳幼児-親精神・心理療法
第24章 家族支援
第25章 施設および里親養育

おわりに:薬物療法の適応とその未来も含めて

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青木 豊(あおき ゆたか)
1985年国立山口大学医学部卒業。東海大学医学部精神科学教室,チューレイン大学精神科,相州メンタルクリニック中町診療所院長などを経て相州乳幼児家族心療センター長,目白大学人間学部子ども学科および同大学院生涯福祉研究科教授。医学博士。

松本英夫(まつもと ひでお)
1987年浜松医科大学大学院医学研究科修了。同大医学部精神神経科講師,東海大学医学部精神科助教授などを経て2006年より東海大学医学部専門診療学系精神科学教授。医学博士,臨床心理士。

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内容説明

人間のこころは,胎生期から乳幼児期にその重要な発達の基盤を作る。そのエビデンスが臨床から神経科学にいたる領域において集積されてきている。いきおい乳幼児のこころの健康に関わる臨床および学問の領域すなわち「乳幼児精神保健」の意義は,わが国においてもその重要性を増している。発達障害の評価や対応,死亡率の高い乳幼児虐待への評価と介入,育児不安をもった養育者とその乳幼児へのアプローチ,代理養育(保育士,里親)の質など,いくつもの重要な精神保健の問題も,乳幼児精神保健の課題である。乳幼児精神保健において,乳幼児期のその時点での評価・支援の必要性に加え,乳幼児期以降の社会・情緒的発達に対する予防的な観点からの介入の重要性が共有されてもいる。
欧米諸国では,これら必要性を基盤に同領域における臨床活動と研究は爆発的に発展してきた。その結果,乳幼児精神保健についてのまとまったテキストやハンドブックが,特に米国においては発刊されている。代表的な書籍としては,世界乳幼児精神保健学会が1999年から4巻におよぶハンドブックを発行しており,またこの領域のリーダーの1人Charles H. Zeanahは,『乳幼児精神保健ハンドブック』を1993年から送り出し,2007年第3版までベージョンをアップしている。これら書籍は,乳幼児精神保健の領域で働いている臨床家,支援者,研究者にとって,貴重な情報源の1つとなっている。
わが国においても,乳幼児に対する精神保健活動は古くから行われてきた。一方,エビデンスに基づいた概念化,評価,介入の歴史は必ずしも長くない。近年この領域の重要性のゆえに,より狭い分野についての先駆的な入門書が出版され,さらにいくつかの学術雑誌が乳幼児精神保健に関わるテーマの特集を組んでいる注)。編者であるわれわれは,乳幼児精神医学・精神保健の領域においても,臨床活動と研究を行ってきた。その過程で,同領域でわれわれと同じく試行錯誤を繰り返しながら働いている仲間たちが,乳幼児精神保健についての包括的なテキストあるいはハンドブックを必要としていることを痛感してきた。その書籍は,日本における臨床や研究にも基盤を置き,日本語で読めることが望まれる。しかし未だ,その種の書物は世に出ていない。
そこでわれわれは,わが国で乳幼児精神保健の各領域において第一線で活躍されている日本の臨床家・研究者を集結して,さきがけとなるハンドブックを発行することを企画した。時代的限界は承知しつつも,わが国の乳幼児精神保健に関わる臨床家や研究者が,この一歩を成し遂げる力をすでに蓄えていると,われわれは信じている。
包括的,総合的にこの領域の情報を提供するため,本書はZeanahの編じたハンドブックを1つの参考として,以下のような構成をとった。はじめにZeanahとZeanahが「乳幼児精神保健の展望」と題し,この領域を俯瞰する。次のセクションⅠ「総論:乳幼児精神保健の基礎」では,第1に乳幼児精神保健の意義,精神科の第1次予防が小倉により述べられ,第2に発達の諸側面(神経学的発達,社会・感情的発達,妊娠期の心理)が論述される。次に発達病理学的観点から乳幼児の心理・社会的発達に対する主な危険因子・保護因子が記述される。引き続き評価がまとめられる。セクションⅡ「各論:精神病理・障害と治療」では,主要な精神障害がまず論述され,次にいくつかの代表的な治療が解説される。
乳幼児精神保健は,学際的で多職種・多観点を有することがその特徴の1つである。そこで本書の読者にも,乳幼児のこころの健康に関わる多くの職種の方々が想定される。地域の母子保健を支えておられる保健師,心理士,保育士。児童相談所の児童福祉士,心理士,児童精神科医。病院や診療所で働く小児科医,児童精神科医,心理士,看護師。児童養護施設の職員(心理士,福祉士,看護師,保育士)。保育園・幼稚園の職員。大学や研究機関で働く心理士(発達心理学),医師,看護師,保健師,福祉士,などである。また大学関係者については研究者・教員のみならず,学生(特に,発達心理学,臨床心理学,保育学,福祉学,精神医学,小児科学をまなぶ学生)も読者となってもらうべく本書は作成されている。
乳幼児のこころの健康を支える仕事に関わっておられる多くの方々に,この書籍が1つの手引きとして役に立つことを願っている。(まえがきより)

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