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ベックの統合失調症の認知療法

目次

第1章 統合失調症とは
第2章 生物学的な要因
第3章 妄想の認知的概念化
第4章 幻聴の認知的概念化
第5章 陰性症状の認知的概念化
第6章 形式的思考障害の認知的概念化
第7章 アセスメント
第8章 関係づくりと治療関係の促進
第9章 妄想の認知的アセスメントと治療
第10章 幻聴の認知的アセスメントと治療
第11章 陰性症状の認知的アセスメントと治療
第12章 形式的思考障害の認知的アセスメントと治療
第13章 認知療法と薬物療法
第14章 統合失調症の統合認知モデル
付録

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内容説明

統合失調症のような複雑な障害の治療を準備するには,専門的な方略や技法の説明をはるかに越えるものが必要であることを指摘しておく必要がある。治療の成功は,この障害の現象学と原因とを深く理解することにかかっている。さらに,大工が設計図を必要とするのと同じように,治療者は手引きとなる概念的枠組みを必要とする。本書では,以下の3点の実現に努めた。第一に症状(妄想,幻覚,思考障害,陰性症状)の起源,発症,持続についての理解を進めること,第二に,症候学的理解と,この分野の研究により裏づけられた臨床経験とに基づき,治療の提案をすること,最後に,統合失調症に関する膨大な生物学的研究と,心理学的側面に関する比較的少数の研究とを統合し,統合失調症の包括的な心理生物学的モデルを提示することである。第1章で統合失調症を概観し,第2章でこの障害の複雑で興味深い神経生物学的側面を解説した後,妄想の臨床的,心理学的側面を広汎に検討する(第3章)。第4章では幻覚を扱う。幻覚体験が患者の思考や観念とどう関係しているかを指摘する。第5章では陰性症状を扱う。注意,記憶,心的柔軟性の障害が生産性の低下,快感消失,社会的引きこもりと関連する理由を考察する。形式的思考障害に関するわれわれの定式化(第6章)は,話のまとまりのなさを,欠陥のある抑制メカニズムの機能として,また思考の貧困を,リソースの節約努力として説明する。治療を扱うパートの最初の章(第7章)では,アセスメントで用いる多様な技法を包括的に考察する。第8章は,治療関係の構築における問題点を扱い,患者の沈黙,注意持続の短さ,多くの欠損,疑り深さに対処するガイドラインを提示する。第9章では,妄想のアセスメントと治療アプローチにおける具体的問題を説明し,それに対処する具体例を紹介する。同様に第10章では幻覚のアセスメントと治療を扱い,患者が幻聴に関連する苦悩を軽減できるよう,場合によっては完全に幻聴を消せるようにする各種の方略を説明する。陰性症状の治療は第11章で説明する。思考障害は,対人的な有効性や関係づくりの足かせとなることがある。第12章では,患者が自分のコミュニケーション上の困難をより適切にアセスメントできるようにするとともに,ストレスをもたらし,解体した発話につながる思考や行動を減らしていけるようにする治療アプローチを説明する。統合失調症における精神療法と薬物療法の関係について質問されることも多い。第13章は,両アプローチの併用について説明する。最終章(第14章)では,統合失調症について,素因とストレス因子と心理学的因子を統合する広汎なモデルの提示を試みる。(序文より抜粋)

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著者情報

A.T.ベック

アーロン・T・ベック博士は,ペンシルバニア大学医学部精神医学教室教授であり,同時に,認知療法センター所長でもある。博士の精神医学的,心理学的問題に関する研究に対しては,アメリカ精神医学会,アメリカ精神病理学会,アメリカ自殺学会から,数多くの賞が授与されている。主要著書としては,“Depression:Causes and Treatment”(1967),“Cognitive Therapy and the Emotional Disoeders”(1976,邦訳「認知療法:精神療法の新しい発展」大野裕訳,岩崎学術出版社刊,1990),“Anxdiety Disorders and Phobias:A Cognitive Perspective”(1985),“Cognitive Therapy of Personality Disorders”(1990),“Love is Never Enough”(1988)などがある。彼はまた,学術雑誌“Cognitive Therapy and Research”誌の創刊時の編集者でもある。第一線の精神医学者の証であるといえるRoyal College of Psychiatristsの会員として選出されているとともに,ブラウン大学より名誉医学博士を授与されている。

ニール・A・レクター

ニール・ストーラー

ポール・グラント

大野 裕 監訳

1950年 愛媛県に生まれる 1978年 慶應義塾大学医学部卒業 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室へ勤務 精神医学,精神療法学専攻 1985年-1988年 コーネル大学医学部留学 1988年 ペンシルバニア大学医学部留学 1989年 学位取得 2002年 慶應義塾大学教授(保健管理センター) 2011年 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長 現  在 大野裕研究所所長,認知行動療法研修開発センター理事長 著  書 『こころが晴れるノート』(創元社),『簡易型認知行動療法実践マニュアル』(ストレスマネジメントネットワーク),『はじめての認知療法』(講談社)ほか多数 訳  書 『認知療法』(岩崎学術出版社),『認知行動療法トレーニングブック』(医学書院)ほか多数 監  修 こころのスキルアップ・トレーニング(http://www.cbtjp.net/)

岩坂 彰

1958年 長野県に生まれる 1981年 京都大学文学部哲学科卒業 現職 翻訳家、関西大学非常勤講師 主訳書 『うつと不安の認知療法練習帳』『アーロン・T・ベック』(以上、創元社)他多数

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