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はじめてのストレス心理学

はじめてのストレス心理学

ストレスを「知る」「気づく」「対処する」「対策を考える」の四部構成で,ストレスの本質からエビデンスのある正しい対処法を学ぶ。

著者 永岑 光恵
ジャンル 心理療法・カウンセリング
出版年月日 2022/09/15
ISBN 9784753312078
判型・ページ数 A5・160ページ
定価 2,970円(本体2,700円+税)
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき

第1章 ストレスを知る
1.ストレスって何?
ストレスとは
ストレスに対する信念
学生によるワーク①の回答例

2.ストレスの捉えられ方
ストレス=悪いもの?
ストレスを「回避」するのは効果的か
ストレスの捉え方と精神的回復力

3.ストレス理論1:非認知論
生理学者・セリエが提唱した全身適応症候群
元々,物理学の用語だった
ストレスは変化への適応
ホームズとラーエによる社会的再適応評価尺度

4.ストレス理論2:認知論
1960年代の心理学
ラザルスが提唱した心理的ストレス理論
認知的評価に影響を与える要因
内的(個人)要因
外的(環境)要因
「学習」によって差が出るストレス反応
コラム1 学習性無力感の講義は学生の心に響く

第2章 ストレスに気づく
1.感情に気づく
ストレス反応としての感情変化
感情を引き起こす中心的テーマとは
感情の機能
コラム2 映画で学ぶ「感情」

2.身体の変化に気づく
そもそも神経とは
自立神経系の活動
交感神経が活発になる緊急事態とは
身体反応に対する認知的再評価の効果
コラム3 アスリートと一般人の安静状態の違い

3.身体の仕組みから理解するストレス
コラム4 ポリヴェーガル理論とは

第3章 ストレスに対処する
1.コーピングとは
ストレス対処に関するラザルスの定義
コーピングの分類
問題(ストレッサー)の質
条理問題
不条理問題

2.社会的につながること
「つながり(社会的関係)」とは

コラム5 孤独への対策
コラム6 依存症は「孤立の病」

3.リラクセーション技法
手軽に取り入れられるリラクセーション法
コラム7 私のオススメ:『たった一呼吸から幸せになるマインドフルネス JOY ON DEMAND』(NHK出版,2016)

第4 章 ストレス対策を考える
1.トラウマケアの基本を知る
トラウマとは
3つのF
「見る」「聞く」「つなぐ」

2.PTSD の治療法
有効な「再学習」の効果
EMDR
コラム8 筆者が実際に体験したトラウマティックな出来事からの自然な回復過程

3.レジリエンスを育む
レジリエンスの定義とその要因
広まっていくレジリエンス
レジリエンスとしての睡眠
レジリエンスとしての運動と栄養
コラム9 理系学生が考えるストレス対策例とは

あとがき

さくいん

ワーク一覧
ワーク① ストレスって何?
ワーク② ストレスフルな出来事を考える
ワーク③ 表1-9の結果からわかること
ワーク④ 図1-14は何を表しているのか
ワーク⑤ 感情にまつわる体験
ワーク⑥ ストレスの対処法を話し合う
ワーク⑦ ハラスメント被害の事例から考える
ワーク⑧ 学んだことを自分の言葉でまとめる

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内容説明

ストレスから解放されたらどんなに幸せなことか――そう望みながらも「ストレスは私たちと共にあります」。解放されたかと思うと,また次のストレスに悩まされる。こうした経験を繰り返してきた人は多いのではないでしょうか。

 では,どうしたらストレスから解放されるのか。これは,ストレスを「悪いもの」と捉えているからこそ立ち現れてくる問いではないでしょうか。悪いもの,不快なものから私たちは遠ざかりたいですし,関わりたくないと思うのは当然のことです。
 しかし,本書ではこの問いを見直すことから始めてみたいと思います。この「ストレスは悪いもの」という捉え方は正しいのか,と。本書の最大の目的は,この捉え方から解放され,ストレスを再考するきっかけを提供することです。
 ストレスを専門的に学ぶ機会は,心理学や医学,またスポーツ科学の領域が最も多いでしょう。それは,ストレスが健康やパフォーマンスと深く関連しているからです。本書では,ストレスの心理学的・生理学的両側面からの理解を目指します。心や体に関心をおもちの人にとって,ストレスは,心と体の相互作用に迫れる大変興味深い研究領域であるといえます。また,専門的ではなくとも,ストレスは誰にとっても身近なテーマですから,心理学の初学者にとってもストレスの学びを通して自分自身の理解を深めることができます。さらにこうしたストレス心理学の知識がストレスを抱え,悩みをもつ人を理解する支えになると期待できます。

 本書は,私がこれまで担当してきたストレス関連の講義(防衛大学校での「ストレス管理論」および東京工業大学での「心理学C」)をもとに執筆しています。科目は,主に学部3年生を受講生と想定して開講されていますが,心理学入門レベルの知識をもっている心理学の初学者にとっても読み進めやすい内容となっています。
 一部,<中略>専門用語に馴染みがない人にとっては難しく感じられるかもしれません。その場合は,そこは飛ばして読んでいただいても,その後の章の理解に影響しませんので,安心して次の章に進んでください。なお,初めからお読みいただいてもいいですし,特にご自分が興味を惹かれた箇所から読み進めていただいてもよいように,各章である程度完結するように構成しています。また,本書は,読むだけではなく,ワークに取り組みながら「自分ごと」として考えてもらえるように工夫しています。ぜひ,各ワークに取り組みながら,ストレスへの理解を深めていただければ嬉しいです。
(「まえがき」より)

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著者情報

永岑 光恵

東京工業大学リーダーシップ教育院/リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 准教授。1997年東京女子大学文理学部心理学科卒業。1999年3月東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻修士課程修了。同年10月ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生として,ドイツ連邦共和国トリア大学心理生物学・心身医学研究所に留学。2002 年東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻博士課程修了。博士(理学)。2002 年4 月から国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部(現:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所行動医学研究部)にて客員研究員,流動研究員,リサーチレジデント等を経て,2008年10月から2016年3月まで防衛大学校人間文化学科准教授。2016年4月から東京工業大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院准教授。2022年4月より現職。

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